○岐阜県ゆかりの先駆者たち
第12回
少年小説作家
木村小舟(きむらしょうしゅう)
1881-1954(明治14年-昭和29年)
木村小舟は、1881年、加茂郡加治田村(現同郡富加町)で生まれました。
幼少の頃は自然を友とした生活を送り、後の作品に大きな影響が見られます。
小舟は、少年の頃から自分が読破した本を貯め、いつかは図書館を建てようと考えていました。
また彼は、幼い頃からの夢として教員、昆虫研究、文学の3つを挙げていました。
尋常小学校卒業後、4年間地元で代用教員をし、また岐阜の名和昆虫研究所の助手を勤めました。
この間投稿を続け、17歳の時、童話『胡蝶船旅行』が巌谷小波に認められ「少年世界」に掲載されました。
その後、編集者、児童文学の執筆者として活躍し、特に歴史や科学読み物に多くの作品を残し、また日本初の仏教美術書を著すなど、膨大な著作があります。
小舟は、蔵書1万冊余を基に、1913年岐阜通俗図書館を創設しました。
この館は、誰でも気軽に読める本を揃え、年中無休、朝8時から夜10時まで開館とした画期的なものでしたが、1919年火災により終焉を迎えました。
彼の図書館への思いはその後も絶えず、郷里に通俗図書館を創りました。
この館も今はなく、蔵書も散逸し、小舟自筆の原稿等が富加町の郷土資料館に保存されているに過ぎません。
小舟は1954年72歳で亡くなりました。彼の明治期児童文学への貢献は大きく、その著作『少年文学史』は黎明期の児童文学を研究する上で欠かせない資料です。
[岐阜県図書館所蔵 参考資料]
『足跡』 尾張真之介 桐花会出版会 1930年
『明治の少年記者木村小舟と「少年世界」』 飯干陽 あずさ書房 1992年
『明治少年文学史』別冊 大空社 1995年(復刻)
『木村小舟と岐阜通俗図書館』 飯干陽 白百合女子大学研究紀要第25号 1989年 他
[岐阜県図書館所蔵著作]
『少年文学史 明治篇』 上・下・別巻 1942年
『家庭お伽 黄金王』 1910年
『家庭教育唱歌お伽集』 1917年
仏教美術五部作『日本仏像物語』『日本国宝巡礼』『日本名画物語』『天平時代物語』『藤原時代物語』 1920-1922年 他多数
(岐阜県図書館 岡崎記)