○岐阜県ゆかりの先駆者たち
第16回
書店「丸善」の創設者
早矢仕有的(はやしゆうてき)
1937-1901(天保8年-明治34年)
早矢仕有的は、天保8(1837)年、武儀郡笹賀村(山県市笹賀)の医師の家に生まれました。
幼少時より明敏で、郷里の笹賀村で医師となりましたが、同郡中洞村庄屋の高折善六が田舎医師として埋没することを惜しみ、江戸へ出ることを勧め、安政6(1859)年、江戸に赴きました。
万延元(1860)年、医業を開業し、慶応3(1867)年、30歳の時に福沢諭吉の門下生として慶応義塾に入塾しました。
福沢はかねてより会社の設立を志しており、早矢仕の医師だけではない実業家としての素質と才能を見込み、西洋物品輸入の仕事を託します。
早矢仕は、横浜新浜町の自宅で輸入商社を開業し、書籍を中心とした西洋物品の輸入を始めます。開設した会社丸善は新時代の先端をゆく書店として発展していきました。
丸善の創設は、福沢の会社組織に関する理念を、早矢仕が日本において初めて実現させたものと言われています。
西洋物品の輸入を通して、欧米の進んだ知識、技術、思想の普及を支え、日本の近代化を進めた早矢仕の業績には大きなものがありました。
明治34(1901)年1月、福沢諭吉が没しますが、後を追うように早矢仕も旅先で重態となり、翌2月に64歳で亡くなりました。
[岐阜県図書館所蔵 参考資料]
『丸善百年史』 丸善 1980年
『丸善外史』木村毅著 丸善 1969年
『早矢仕家の歴史』 早矢仕是雄著 1996年
『ぎふの偉人たち』 岐阜新聞社 1988年
『岐阜県人』 吉岡勲町 新人物往来社 1977年
『郷土の生んだ先覚者』岐阜県博物館 1983年
『郷土歴史人物事典』 吉岡勲編著 第一法規出版 1980年
『濃飛人物史』 岐阜県歴史教育研究会 1985年
『美山町史』 美山町 1975年
(岐阜県図書館 坪井記)