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1 「岐阜県公民読書室」旧蔵資料 ![]() 岐阜市美江寺に建設中だった岐阜県医師会館の2階が、軍政部の勧告によって接収され、「民間情報部岐阜公民読書室」が誕生したのは昭和22年4月のことでした。図書室の名称は初め「岐阜県教育図書館」の予定でしたが、公募が行われ、正式名称は「岐阜県公民読書室」となり翌5月にオープンしました。 開設時、軍政部からは1,500冊のアメリカの出版物が届き、その後も数度にわたって寄贈がありましたが、運営は県費で行われ、日本の出版物も備えられました。蔵書の構成は、7割が洋書で、教育、語学、芸術、文学関係が多く、アメリカの雑誌も置かれ、語学講座やレコード・コンサート等も数多く行われました。昭和26年、占領の終了とともに岐阜県公民読書室は県立図書館分館扱いとなり、同32年、岐阜公園内の新県立図書館の館舎完成を機に、吸収統合されました。 公民読書室に入った洋書は、GHQから寄贈された、元々は米軍兵士用であったもののほかに、「キャンプ岐阜」付設の学校からの寄贈、米人個人蔵書の寄贈、アメリカ文化センターからの寄贈、県費での購入など、異なる経緯を持った様々な図書からなります。これらは、1940年代から1950年代の、アメリカの出版史の一こまを切り取ったかのように今も書庫に眠っています。しかし、当時のアメリカが何を日本に伝えようとしたか、また当時の日本人がこれらを通して感じたアメリカ社会とはどんなものであったかを知ることができる資料として貴重なものと言うことができます。 2 「明治期岐阜県庁」旧蔵図書 ![]() 約9,800件、4万点に上るこれらの資料は、江戸期の幕府直轄地の行政や、明治期における近代化の過程を知ることができる貴重な史料として、県史や市町村史の編纂や、郷土史の研究に活用されました。しかし、昭和55年、これらの大部分は、岐阜県歴史資料館に移管され、図書館には、太政官布告に続く官報等の中央政府からの通知文書と、県庁書庫に収蔵されていた図書類(和装本)が残りました。 図書の内、一般図書(1,161点)には江戸期、明治期に刊行された日本書紀などの教養書のほか、葡萄酒や紅茶の製法を記した西欧技術の紹介書(和文)も含まれています。 また、郷土関係図書(304点)には「岐阜県史稿」(明治初期に全国的な地域沿革史編纂計画のもと作成された原稿本。出版されず)のほか、「美濃国神名帳」「岐阜志略」等郷土資料の写本や、県庁蔵版をもとに岐阜史談会から昭和初期に刊行された主要郷土資料の謄写本も含まれています。 |