3 読みくらべ絵本

 岐阜県図書館では、「子どもと本の出会い」の大切さを知っていただき、より豊かな子どもの読書環境づくりに生かしていただくため、昭和47年に児童図書研究センター(現:児童図書研究室)を創設しました。児童図書および子どもの読書に関する参考資料や情報を収集し、どんな本を子どもにすすめるべきか、子どもは何を求めているかなどの情報、研究の場、講習会などの機会を提供してきました。
 現在、数多くの絵本が出版されていますが、その中からよい絵本を選び、子どもたちに手渡していくことは大変なことです。そこで、児童図書研究室では、同じ昔話を素材としながら様々な形で絵本化されている複数の絵本を収集し、絵・文章・話の展開等について、どのようなものが望ましいかを比較検討していただくため、「読みくらべ絵本」のコレクション作りを行ってきました。これまでに、33種の昔話について、平均してそれぞれ20冊から30冊の絵本が集まっています。
 昔話は、代々語り伝えられてきたものであり、口で語られ、耳で聞くというのが、自然の形です。声に出して語りやすく、耳に心地よく響く文章、素朴で雰囲気が生き生きと伝わってくる絵が基本と思われます。しかし、中には安易な内容に変えられ、商品化された派手な絵本が多いのが現状です。できればグループで話し合いながら読み比べみてください。どのような点に着目したらよいかのヒントに出会えるでしょう。
 絵本は、大人が子どもに読んで聞かせるのが基本です。子どもにとって、絵本を読んでもらうことは大きな喜びです。「よい絵本」を選ぶ目を養うことは大人として大切ではないでしょうか。
 児童図書研究室は、子どもの読書に関わる人々や研究者の方々のご利用をお待ちしています。