平成30(2018)年

『サンタクロースのはるやすみ』

(ロジャー・デュボアザンぶん・え、小宮由やく、大日本図書)掲載:『岐阜新聞』2018.03
きせつははるです。サンタクロースはおもちゃづくりを休(やす)んで、はるやすみをとることにしました。いつもの赤(あか)いコートはタンスの中(なか)にしまって、しょうたいをかくして町(まち)へでかけます。ところが、町で出会(であ)った子(こ)どもたちに「このおじいさん、サンタからおひげと赤いはなぬすんじゃった!」とどろぼうあつかいをされておおさわぎに。さらに、さわぎをききつけたおまわりさんにけいさつしょにつれていかれてしまいました。サンタクロースは自分(じぶん)が本物(ほんもの)だとみんなにわかってもらえるのでしょうか。

『サンタクロースのはるやすみ』

『ファニー13歳の指揮官』

(ファニー・ベン=アミ著、ガリラ・ロンフェデル・アミット編、伏見操訳、岩波書店)
ファニーは両親(りょうしん)と2人の妹とともにフランスに暮らすユダヤ人の女の子。第二次世界大戦が起こり、ユダヤ人迫害(はくがい)に遭(あ)って、両親と離(はな)れ離(ばな)れになってしまいました。1943年、子どもたちだけをあつめ、国境(こっきょう)を越(こ)えてスイスへ逃(に)げることになります。しかしその途中(とちゅう)、引率者(いんそつしゃ)の青年が逃走(とうそう)し、ファニーをはじめとする子どもたちは取(と)り残(のこ)されてしまいました。ファニーは、大勢の子どもたちのリーダーとなって、スイスへの逃避行(とうひこう)を続けます。ユダヤ人少女ファニーの戦争体験の実話です。

『ファニー13歳の指揮官』

『バクのバンバン、船にのる』

(ポリー・フェイバー作、クララ・ヴリアミー絵、松波佐知子訳、徳間書店)掲載:『岐阜新聞』2018.02
ジャングルからやってきた、マレーバクの子(こ)・バンバンは、マンゴーという女(おんな)の子といっしょに都会(とかい)でくらしています。マンゴーはバンバンにならいごとをさがしてあげますが、チェス教室(きょうしつ)もケーキ教室もバレエ教室もうまくいきませんでした。おちこんでしまったバンバンでしたが、ある紳士(しんし)からフラメンコ教室にさそわれて...。フラメンコがきっかけで、バンバンは人気者(にんきもの)になり、ごうか客船(きゃくせん)の旅(たび)にさそわれます。バンバンは大よろこびですが、マンゴーはわかれがつらくてたまりません。バンバンとマンゴーは、はなればなれになってしまうのでしょうか。

『バクのバンバン、船にのる』

『あぐり☆サイエンスクラブ:春』

(堀米薫作、黒須高嶺絵、新日本出版社)
私立(しりつ)中学の受験をあきらめた小学五年生の学(まなぶ)はつまらない日々をすごしていました。ぐうぜんひろったサイエンスクラブのチラシに興味(きょうみ)をひかれて、学はクラブに入ることにします。しかし、野外活動としてあぐり先生につれられてきた場所は、古めかしいかやぶき屋根の一軒家(いっけんや)でした。そこには先生の知り合いの農家(のうか)の人たちが応援隊(おうえんたい)として待っていたのです。甘(あま)えん坊(ぼう)の雄(ゆう)成(せい)や一匹(ぴき)オオカミの奈々(なな)、農家の大人たちと一緒に、学は種から苗(なえ)を育てる米作りに挑戦(ちょうせん)します。3作目まで出ているシリーズの1作目です。

『あぐり☆サイエンスクラブ:春』

『アルバートさんと赤ちゃんアザラシ』

(ジュディス・カー作・絵、三原泉訳、徳間書店)掲載:『岐阜新聞』2018.01
アルバートさんは、新(しん)聞(ぶん)やたばこやおかしを売(う)るお店(みせ)の店主(てんしゅ)でしたが、さいきんそのお店を手(て)ばなしてしまって、毎日(まいにち)どこかたいくつな生活(せいかつ)を送(おく)っています。ある日(ひ)、海(うみ)で野生(やせい)のアザラシの親子(おやこ)にであったアルバートさんは、赤(あか)ちゃんアザラシのあまりの可愛(かわい)さに心を奪(うば)われます。ところが、お母(かあ)さんアザラシが命(いのち)を落(おと)としてしまいました。このままでは赤ちゃんアザラシも死(し)んでしまうかもしれません。そこで、アルバートさんは大きな決断(けつだん)をします。赤ちゃんアザラシを助(たす)けることはできるのでしょうか。

『アルバートさんと赤ちゃんアザラシ』

『タイガー・ボーイ』

(ミタリ・パーキンス作、ジェイミー・ホーガン絵、永瀬比奈訳、鈴木出版)
学校(がっこう)で一番(いちばん)成績(せいせき)がよい小学(しょうがく)5年生(ねんせい)のニールは、奨学(しょうがく)金(きん)を勝(か)ち取(と)り、コルカタの中学校(ちゅうがっこう)に進学(しんがく)することを周(まわ)りから期待(きたい)されています。しかし、ニールは大好(だいす)きな故郷(こきょう)から離(はな)れたくありません。ある日、保護(ほご)区(く)からトラの子(こ)が逃(に)げだしたというニュースが入(はい)ります。島(しま)では大捜索(だいそうさく)がはじまりました。悪(わる)いやつらが見(み)つける前(まえ)にトラの子を助けなければ。ニールもそんな思(おも)いを持(も)って必死(ひっし)でさがしますが・・・。トラの子さがしを通(とお)して少年(しょうねん)の心に少(すこ)しずつ変化(へんか)が芽生(めば)えていくお話(はなし)です。

『タイガー・ボーイ』

平成29(2017)年

『ありづかのフェルダ』

(オンドジェイ・セコラさく・え、関沢明子やく、福音館書店)掲載:『岐阜新聞』2017.12
ありのフェルダはなんでも屋(や)さん。赤(あか)い水玉(みずたま)もようのスカーフが目印(めじるし)です。長(なが)い旅(たび)から、ふるさとのあり塚(づか)へ帰(かえ)るとちゅう、フェルダとそのなかまたちはみつばちにおそわれてしまいます。もうだめだと思(おも)ったそのとき、りっぱなよろいをきた騎士(きし)があらわれてありたちを助(たす)けてくれました。それは、はちの巣(す)でつくったよろいをきた、フェルダだったのです。ムカデの足(あし)を使ってそうじをしたり、赤ちゃんありの子守(こも)りをしたり、フェルダはなんでもやってのけます。チェコで大人気(だいにんき)の「ありのフェルダ」シリーズの3作目(さくめ)、完結(かんけつ)です。

『魔法(まほう)の箱』

(ポール・グリフィン作、池内恵訳、WAVE出版)
ベンはある日、図書館でいろとりどりの服を着(き)た「レインボーガール」こと、ハレーに出会いました。また、同じ日に、小さな迷い犬のフリップを拾います。ハレーとフリップとの出会いが、ベンの人生を大きく変えていきました。ハレーは遊園地を舞台(ぶたい)にした物語をつくっていました。二人はこの物語に『魔法の箱』というタイトルをつけ、つづきを話し合います。日に日に友情を深めていく二人でしたが、お互いにさまざまな問題を抱(かか)えており......。厳(きび)しい現実に直面するベンとハレーを、小さな犬のフリップがそっと支えてくれるお話です。

『だんまりうさぎときいろいかさ』

(安房直子作、ひがしちから絵、偕成社)掲載:『岐阜新聞』2017.11
はたけのなかの小(ちい)さないえにすんでいるだんまりうさぎのたのしみは、お日(ひ)さまの下(した)ではたらくことと、ともだちのおしゃべりうさぎとあうことです。でも、このごろは雨(あめ)ばかりふって、そのふたつのことがぜんぜんできないので、とてもたいくつでした。そこでだんまりうさぎは、こわれたかさときいろいレインコートをつかって、あたらしいかさをつくることにしました。だんまりうさぎはおしゃべりうさぎとあうことができるのでしょうか。そのほかにも、ふたりがいっしょにだいこんをしゅうかくするお話(はなし)も入(はい)っています。

『雨ふる本屋とうずまき天気』

(日向理恵子作、吉田尚令絵、童心社)
ルウ子とサラの姉妹は、図書館の本棚(ほんだな)たちのさらに奥(おく)、かべのむこうにある、ふしぎな雨降(ふ)る本屋にやってきました。そこは、すきまの世界です。雨降る本屋の店主であるドードー鳥のフルホンさんは、絶滅(ぜつめつ)かぜをひいていました。絶滅かぜは、ひどい呪(のろ)いをかけて、この世界の生きものを絶滅させてしまうというドードー鳥にしかかからない病気です。このままでは、この世界はほろんでしまいます。するとそこに、治(なお)す方法(ほうほう)を知っているという女の子が現(あらわ)れて・・・。雨降る本屋シリーズの第3巻です。シリーズもあわせてどうぞ。

『時(とき)知(し)らずの庭(にわ)』

(小森香折作、植田真絵、BL出版)掲載:『岐阜新聞』2017.10
花が大好きなリスのホップは森の園芸学校に楽しく通っていました。ある日、先生に紹介され、ホップは「時知らずの庭」で庭師(にわし)として働(はたら)くことになります。そこは、どこにもない植物がたくさんある、とくべつな庭でした。つまれるのがいやで逃げてしまう、夜泣きニンジン。ていねいにたのまないと実がとれない、龍(りゅう)の首飾(くびかざ)り。時知らずの庭で育つ植物は、外の世界のものとは少し変わっていました。おなじ庭師のアナグマのイダやドードー鳥のキミドリに助けられながら、ホップは庭の植物におこる問題(もんだい)を解(かい)決(けつ)していきます。

『はっけよい!雷電(らいでん)』

(吉橋通夫著、講談社)
おじいちゃんと二人で相撲(すもう)を見にいった太郎は、土俵(どひょう)から落ちてきた力士の下敷(したじ)きになってしまいました。気がつくと、太郎は誰かに抱きかかえられていました。それは、おじいちゃんがよく話していた、史上(しじょう)最強(さいきょう)の力士・雷電為(ため)右衛門(えもん)でした。太郎はどうやら江戸時代へタイムスリップしてしまったようです。雷電の家で世話になりながら、太郎は元の時代へもどる方法を探します。はたして、無事(ぶじ)に帰ることができるのでしょうか。江戸時代の人々のくらしや相撲について、太郎とともに体験(たいけん)することができるお話です。

『ちびおにビッキ』

(砂山恵美子作・絵、こぐま社)掲載:『岐阜新聞』2017.9
ビッキは、あかおにのおとこのこ。毎日(まいにち)、お兄(にい)ちゃんたちが学校(がっこう)に行(い)くのを、ひとりさみしく見(み)おくっています。おにの学校には、大(おお)おに校長(こうちょう)の金(かな)ぼうよりも、せが大きくならないと入学(にゅうがく)できないからです。ビッキは、大きく強(つよ)くなって、はやく学校へ行けるように、毎日、自分(じぶん)をきたえています。ある日、いつものようにとっくんをしていたビッキは、とつぜんトンビに空(そら)へさらわれてしまいました!ビッキはぶじに帰(かえ)ることができるのでしょうか。ちびおにビッキの成長(せいちょう)をえがいたおはなしです。

『くろグミ団は名探偵 紅サンゴの陰謀』

(ユリアン・プレス作・絵、大社玲子訳、岩波書店)
なかよしのフィリップ、フロー、カーロの3人とおかし屋(や)の店主(てんしゅ)レオさん、その弟(おとうと)のラース警部(けいぶ)は、探偵(たんてい)グループ「くろグミ団(だん)」を結成(けっせい)しています。5人の大好物(だいこうぶつ)は甘(かん)草味(ぞうあじ)のくろいグミ。でも、くろグミ団の子どもたちは、あまいお菓子(かし)よりもなぞの事件(じけん)が大好きです。今回の事件は、秘密(ひみつ)結社(けっしゃ)「紅(べに)サンゴ」が、なにやら危険(きけん)なたくらみをしている様子(ようす)。くろグミ団は彼らの陰謀(いんぼう)をあばくことができるのでしょうか。3人の子どもたちが大活躍(だいかつやく)する、くろグミ団シリーズ第3作目。表題(ひょうだい)「紅サンゴの陰謀」他4つのお話が入っています。

『蒼(あお)とイルカと彫刻家(ちょうこくか)』

(長崎夏海作、佐藤真紀子絵、佼成出版社)掲載:『岐阜新聞』2017.8
一年生のときにプールでおぼれてから、蒼は泳(およ)げなくなりました。しかし、ふしぎと水はこわくありません。なぜなら、蒼の心の中にはそれからイルカがすむようになったからです。夏休みに、蒼は消(け)しゴムをけずって動物(どうぶつ)を作ることに夢中(むちゅう)になっていました。ただ、イルカだけは、なかなかイメージしたとおりに作ることができません。ある日、雑(ぞう)木林(きばやし)で彫刻家のカズさんに出会った蒼は、作品を見て刺激(しげき)を受けます。そして、もう一度、消しゴムでイルカを作りはじめました。実在する彫刻家、薬師寺(やくしじ)一彦(かずひこ)さんとその作品をモデルに書かれたお話です。

『流れ星キャンプ』

(嘉成晴香作 宮尾和孝絵、あかね書房)
看護師(かんごし)のお母さんが夜勤(やきん)の日に、圭(けい)太(た)はひとりでこっそりと病院(びょういん)の近くの川原に黄色いテントをはり、キャンプをしていました。重い病気で幼いころからずっと入院している明里(あかり)は、病院(びょういん)の窓からずっとそのようすをながめていました。圭太と友だちになりたい明里は、勇気を出して手紙を送ってみるのでした。病院で働(はたら)くお母さん、3ヶ月ぶりに仕事から帰ってきたお父さん、キャンプをとおして友だちになった平井さん、足をケガして入院した友だちのかっちゃん。偶然(ぐうぜん)の出会いがみんなの未来を変えていく、夏に読みたいお話です。

『干(ほ)したから...』

(森枝卓士写真・文、フレーベル館)掲載:『岐阜新聞』2017.7
私(わたし)たちの食卓(しょくたく)には、干した食べものがたくさん登場(とうじょう)しています。たとえば、梅干(うめぼ)し、のり、魚の干物(ひもの)・・・。私たちが主食(しゅしょく)にしているお米(こめ)だって、干したもののひとつなのですよ。でも、どうして干すのでしょう?干すことで、何が変わるのでしょうか。この本は、世界中(せかいじゅう)を旅した著者(ちょしゃ)が、日本だけではなく、世界中の干したものについて、たくさんの写真(しゃしん)とともに紹介(しょうかい)しています。世界にはどんな干したものがあるのでしょう?みなさんも、身近(みぢか)にある「干したもの」について考えてみませんか。

『チキン!』

(いとうみく作、こがしわかおり絵、文研出版)
できるかぎり争いごとを避(さ)けて、少しくらい理不尽(りふじん)だと思うことがあってもがまんして生きてきた小学6年生の日(ひ)色(いろ)拓(たく)。そんな拓の日常(にちじょう)は、ある日、転校生の真中凛(まなかりん)さんがやってきたことで一変します。真中さんは、曲がったことが大嫌(だいきら)い。言いたいことはなんだってはっきり言って、クラスのみんなから浮(う)いてしまいます。あまり関わりたくないと思っていた拓でしたが、放(ほう)っておくことはできなくて・・・。どこまでもまっすぐな転校生とのかかわりを通して、クラスみんなが成長していくおはなしです。

『雨の日のせんたくやさん』

(にしなさちこ作・絵、のら書店)掲載:『岐阜新聞』2017.6
雨の日にだけおみせをひらく、かたつむりのせんたくやさんがありました。しめったふくをきているのがだいすきなごきんじょさんのために、ようふくにあった雨水(あまみず)にぬらしてきれいにしてあげるのがしごとです。わんぱくなげんごろうのチョッキには、気もちがひきしまるたんぽぽの葉(は)のにおい。けんかをしているあまがえるとあおがえるのスカーフには、なかなおりにぴったりな赤いきのこのにおい。かたつむりのせんたくやさんは森のしょくぶつをつかって、おきゃくさんにぴったりのしあげをします。そのほかにも、森にくらす動物(どうぶつ)たちのおはなしが入っています。

『まいごのまいごのアルフィーくん』

(ジル・マーフィ作・絵、評論社)
ディア・ハウンドという猟犬(りょうけん)のアルフィーは、体は大きいけれどまだこどもでカミナリが苦手です。大好きな飼(か)い主(ぬし)のチャーリー、猫のフローレンスと楽しくくらしていました。ある日、チャーリーがいとこの結婚式(けっこんしき)に出席(しゅっせき)するため、アルフィーは他人の家にあずけられました。しかし、不幸なことが重なってアルフィーはあずけ先を飛びだして、あらしの夜に森で迷子(まいご)になってしまいます。アルフィーは森で出会ったキツネの夫婦(ふうふ)に助けてもらいながら、家に帰る方法(ほうほう)をさがします。無事(ぶじ)に飼い主のところへもどることができるのでしょうか。

『にわとり城』

(松野正子作、大社玲子絵、こぐま社)掲載:『岐阜新聞』2017.5
むかしむかし、びんぼうでのろまだけれど、こころのやさしいむすこがいました。むすこのいえは、にわとりをいっぱいかっていたおひゃくしょうでしたが、おやがなくなって、せわができなくなってしまいました。むすこは、そのうちに家もなくして、一羽(いちわ)のめんどりとたびにでることになります。食(た)べるものもなく、ふらふらになりながらまよいこんだのはまっくらな森(もり)。むすこは、そこで夜(よる)のまものとであい、なぞなぞ対決(たいけつ)をすることになりました。むすことめんどりはぶじに森をぬけだすことができるのでしょうか。

『ギュレギュレ!』

(斉藤洋作、樋口たつの画、偕成社)
ある朝のこと、わたしは、自宅(じたく)に突然(とつぜん)やってきたなぞのトルコ人から、じゅうたんの玄関(げんかん)マットを買いました。なんと、このじゅうたんは、「テシェキュレデリム!」(トルコ語で「どうもありがとう」)と言うと空を飛ぶ、ふしぎなじゅうたんだったのです!それからというもの、わたしの家にはときどきこのなぞのトルコ人が、ふしぎなものを売りにやってくるようになりました。さあ今度はどんなものを売りにきたのでしょうか。ちょっとふしぎで、ユーモアたっぷりのおはなしです。

『てんきのいい日はつくしとり』

(石川えりこさく・え、福音館書店)掲載:『岐阜新聞』2017.4
きょうは、いいおてんきです。ちえちゃんは、おにいちゃんとおねえちゃん、おばあちゃんといっしょに、つくしとりにでかけました。つくしがいっぱいのばしょにつくと、おにいちゃんとおねえちゃんはどんどんつくしをとっていきます。しかし、ちえちゃんはなかなかみつけることができません。すると、おばあちゃんがつくしのさがしかたをおしえてくれました。ちえちゃんは、たくさんつくしをとることができるかな?はるにぴったりのおはなしです。

『四人のおばあちゃん』

(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作、野口絵美訳、佐竹美保絵、徳間書店)
エルグとエミリーの兄(きょう)妹(だい)には、おばあちゃんが4人います。おばあちゃん1号(ごう)は、とてもきびしい人で、おばあちゃん2号は心配性(しんぱいしょう)。おばあちゃん3号は、お金持(かねも)ちなのにすごくけちで、おばあちゃん4号は優(やさ)しいけれど、エルグとエミリーがけんかをするだけで気を失(うしな)ってしまいます。ある日、お父さんとお母さんが4日間出張(しゅっちょう)に行くことになると、孫(まご)の面倒(めんどう)をみるため、おばあちゃん4人がせいぞろい。家の中は大変(たいへん)なことになってしまいました。個性的(こせいてき)な4人のおばあちゃんと兄妹のやりとりがおもしろいおはなしです。

『サバンナのいちにち』

(斉藤洋さく、高畠純え、講談社)掲載:『岐阜新聞』2017.3
サバンナの夜明(よあ)け前(まえ)、ワシは毎日(まいにち)天(あま)の川(がわ)をめざして飛(と)んでいきます。天の川を星(ほし)ではなくほんとうの川だと思(おも)っているのです。日(ひ)がのぼった朝(あさ)、陸(りく)のサイは水(みず)の中(なか)のカバといつもかけっこをしています。今日(きょう)はどっちがかったのかな?お昼(ひる)まえ、オカピはしまうまのむれにいたずらをして大(だい)まんぞくです。サバンナのどうぶつたちは、どんなふうにいちにちをすごしているのかな。みなさんもちょっとのぞいてみませんか。1988年に出版(しゅっぱん)された童話(どうわ)「どうぶつえんのいっしゅうかん」の姉妹編(しまいへん)です。

『月は、ぼくの友だち』

(ナタリー・バビット作、こだまともこ訳、評論社)
月を見るのがなによりも大好きな少年ジョー・カジミール。赤ちゃんのときに自動車事故(じこ)で両親(りょうしん)を亡(な)くし、ずっとおばあちゃんとふたりで暮(く)らしています。12歳(さい)の夏休みに、ジョーは親戚(しんせき)のマイラおばさんのところへひとりで泊(と)まりにいくことになりました。その街で出会った億万長者(おくまんちょうじゃ)のボルダーウォールさんに気に入られたジョーは、ある日突然(とつぜん)、あとつぎにならないかと言われます。しかしジョーには、まだだれにも打ち明けたことのない、小さいときから思い続(つづ)けている夢(ゆめ)があって・・・。

『まいごのアローおうちにかえる』

(竹下文子作、藤原ヒロコ絵、佼成出版社)掲載:『岐阜新聞』2017.2
アロサウルスのアローは、ユウくんがたんじょう日(び)プレゼントにもらったきょうりゅうのおもちゃです。本当(ほんとう)のアロサウルスは全長(ぜんちょう)12メートルですが、アローは12センチ。子どもの手(て)のひらにのるくらいの大(おお)きさです。ある日(ひ)アローは、ユウくんにつれていってもらった公園(こうえん)の砂場(すなば)でねむってしまいました。気(き)がつくと夜(よる)になっていて、公園にはだれもいません。なんとかしてひとりでかえろうとしますが、道(みち)もわからず、こまってしまいました。アローはぶじおうちにかえることができるでしょうか。

『きかせたがりやの魔女』

(岡田淳作、はたこうしろう絵、偕成社)
たいていの小学校には魔女(まじょ)や魔法使(まほうつか)いがいて、さまざまな「ふしぎ」をおこしているといいます。小学5年生の「ぼく」は、ある日学校で、しゃべるクロツグミを連(つ)れた魔女に出会いました。その魔女は、「ぼく」にこれから語(かた)るおはなしを聞(き)いてほしいと言います。言われるがまま魔女の部屋(へや)に入り、いすにすわると、魔女はランプに火をつけて、ひとつ目のおはなし「踊(おど)り場(ば)の魔女」を語りはじめたのです。きかせたがりやの魔女が語る、6人の魔女や魔法使いのおはなし。みなさんも聞いてみませんか。

『世界一のランナー』

(エリザベス・レアード作、石谷尚子訳、評論社)掲載:『岐阜新聞』2017.1
11歳(さい)のソロモンは、エチオピアの田舎(いなか)に住む男の子。走ることがなによりも好きで、夢は世界一のランナーになることです。ある日、ソロモンは、じいちゃんのおともをして、首都(しゅと)アディスアベバに行くことになりました。たどり着いたその街(まち)は、初めて見る都会(とかい)で、運(うん)良(よ)くオリンピック選手団(せんしゅだん)の凱旋(がいせん)パレードも見ることができ、大興奮(だいこうふん)です。しかしそこで事件(じけん)は起きます。じいちゃんが倒(たお)れて、病院(びょういん)に運(はこ)ばれたのです。じいちゃんが病気(びょうき)になったことを家族(かぞく)に伝えるため、ソロモンは家までの道を懸命(けんめい)に走りますが・・・。

『脱走ペンギンを追いかけて』

(山本省三作、コマツシンヤ絵、佼成出版社)
3ヶ月前に小笠原(おがさわら)諸島(しょとう)からこの町に来た広(こう)太(た)は、新しい学校になかなかなじめません。引(ひ)っ越(こ)してきてから通(かよ)いはじめたスイミングスクールでも、いまだによそ者(もの)気分(きぶん)です。ある日、広太がテレビを見ていると、水族館(すいぞくかん)からペンギンが脱走(だっそう)したというニュースが流れてきました。たった1匹(ぴき)でどこへ行こうとしているのだろうか。故郷(こきょう)へ帰りたいのだろうか。ペンギンのことが気になった広太は、ひそかにペンギン探(さが)しをはじめます。脱走ペンギンは無事(ぶじ)見つかるのでしょうか。

平成28(2016)年

『ちゃいろいつつみ紙のはなし』

(アリソン・アトリー作、松野正子訳、殿内真帆絵、福音館書店)掲載:『岐阜新聞』2016.12
このおはなしの主人公(しゅじんこう)は、ちゃいろいつつみ紙(がみ)。ある小(ちい)さな新聞屋(しんぶんや)さんのたなの上(うえ)にすんでいます。紙(かみ)はとてもたいくつしていて、どこかへぼうけんにでかけたくてたまりません。しかし、そんな紙も、ある日、いっけんの家(いえ)に買(か)われていきました。その家では、クリスマスのおくりものの準備(じゅんび)がされています。ちゃいろい紙は、リボンがかけられたおくりものの箱(はこ)をしっかりと包(つつ)み、こづつみとなって、ゆうびんきょくへもっていかれました。ちゃいろいこづつみは、これからどんなたびをするのでしょうか。

『テオの「ありがとう」ノート』

(クロディーヌ・ル・グイック=プリエト著、坂田雪子訳、PHP研究所)
生まれつき両足と左手が不自由で、車いすで生活をしている12歳(さい)のテオ。だれかに何かをしてもらうたびにお礼を言うことにうんざりしたテオは、ある日、「ありがとう」を言うことをやめる決心をします。テオは自分一人でできることを増(ふ)やし、さらにみんなからもらった「ありがとう」を書(か)き留(と)めていく「ありがとうノート」を作ることにしました。お手伝いをたくさんしたり、スポーツを始めたり、テオの生活はどんどん変わっていきます。壁(かべ)を乗(の)り越(こ)えながら自分と向き合っていく少年のおはなしです。

『よるのとしょかんだいぼうけん』

(村中李衣作、北村裕花絵、BL出版)掲載:『岐阜新聞』2016.11
ぬいぐるみのくまきちは、とおるくんにつれられて花町(はなまち)としょかんにやってきました。今日(きょう)は、としょかんでぬいぐるみのおとまり会(かい)があります。とおるくんとはなればなれになって不安(ふあん)なくまきちでしたが、同(おな)じぬいぐるみのなかまたちといっしょにとしょかんをぼうけんします。しかし、夜(よる)十二時(じゅうにじ)をすぎたとき、本(ほん)のせかいからあばれグマのジャンボンがでてきてさあ大変(たいへん)。くまきちは、なんとかしてジャンボンを止(と)めようとしますが・・・?みなさんも、くまきちといっしょによるのとしょかんをぼうけんしてみませんか。

『バイバイ、わたしの9さい!』

(ヴァレリー・ゼナッティ作、伏見操訳、ささめやゆき絵、文研出版)
タマラは、あとひと月と六日で十さいになります。十さいになったら、もう二度(にど)と自分の年を一文字で書けなくなるし、もう二度と両手(りょうて)で年を数(かぞ)えられなくなる。だからすごくだいじなときだと思っています。ある日タマラは、世界(せかい)は様々(さまざま)な不幸(ふこう)であふれていることを知りました。なにか自分にできることはないかと、タマラが考えに考えて出した答えは、「できるかぎり早く、大統領(だいとうりょう)になる」ということでした。タマラはこれからどのような行動(こうどう)を起(お)こすのでしょうか。

『旅のお供はしゃれこうべ』

(泉田もと作、岩崎書店)掲載:『岐阜新聞』2016.10
遠州(えんしゅう)にある古物商(こぶつしょう)のひとり息子である惣(そう)一郎(いちろう)は、取引先(とりひきさき)へ大切な茶碗(ちゃわん)を取りに行くよう父から頼(たの)まれます。目的地(もくてきち)にたどり着き、茶碗を受け取った惣一郎でしたが、お供(とも)の奉(ほう)公人(こうにん)に裏切(うらぎ)られ、茶碗と財布(さいふ)を奪(うば)われてしまいました。行く当てもなく、途方(とほう)に暮(く)れて山の中をさまよっていた惣一郎は、足をすべらせて崖(がけ)の下に落ちてしまいます。目をさますと、どこからか声(こえ)がします。その声の主(ぬし)は、なんと人間の頭(ず)がい骨(こつ)、つまりは「しゃれこうべ」だったのです。惣一郎とおしゃべりなしゃれこうべの奇妙な旅のおはなしです。

『ぼくのなかのほんとう』

(パトリシア・マクラクラン作、若林千鶴訳、たるいしまこ絵、リーブル)
ロバートは音楽家(おんがくか)の両親(りょうしん)と犬のエリーと一緒(いっしょ)に暮(く)らしています。夏休み、両親は2ヶ月ものあいだ、ロバートを残(のこ)して演奏(えんそう)旅行(りょこう)にでかけることになりました。ほんとうはついていきたい、けれどそう言って、もしも拒否(きょひ)されたら?ロバートはこわくていつの間にかほんとうの気持(きも)ちが言えなくなっていました。両親がいない間、ロバートはエリーと一緒に祖母(そぼ)であるマッディの家で暮らします。ちょっと変わり者のマッディと、その友人のヘンリーと過(す)ごすうちに、ロバートは、自分のなかの「ほんとう」に気付いていきます。

『だんまりうさぎとおしゃべりうさぎ』

(安房直子作、ひがしちから絵、偕成社)掲載:『岐阜新聞』2016.9
だんまりうさぎは、あさからばんまでなにもしゃべらないでくらしています。ずっとひとりぼっちでとてもさみしく思(おも)っていました。しかし、そんなだんまりうさぎに、おともだちができました。山(やま)のむこうに住(す)んでいるおしゃべりうさぎです。おしゃべりうさぎは、いろんな話(はなし)をしてくれるので、だんまりうさぎはたのしくてたまりません。ある日(ひ)、だんまりうさぎは、大(おお)きなかぼちゃのパイを作(つく)って、にぎやかにパーティをしたいと考(かんが)えました。さて、おともだちはたくさんあつまってくれるのでしょうか。

『オバケ屋敷にお引っ越し』

(富安陽子作、たしろちさと絵、ひさかたチャイルド)
テンテル山の、ぞうき林(ばやし)の入口(いりぐち)に、オバケさんというおじさんが住(す)んでいました。オバケさんは、オバケではありません。尾羽(おば)健(けん)一郎(いちろう)という名前(なまえ)の料理(りょうり)研究家(けんきゅうか)で、人間(にんげん)です。ある日、オバケさんは、今よりも広(ひろ)いキッチンがある家(いえ)を求(もと)めて、山の中にあるスギナ屋敷(やしき)に引越(ひっこ)しました。しかし、そこには、本物(ほんもの)のオバケがいたのです。しかも、この屋敷にずっと住んでいる屋敷(やしき)守(もり)のオバケは、オバケさんを追(お)い出(だ)そうと、いやがらせをしてきてさあ大変(たいへん)。オバケさんは無事(ぶじ)にこの家で暮(く)らせるのでしょうか。

『ハリーとうたうおとなりさん』

(ジーン・ジオンぶん、マーガレット・ブロイ・グレアムえ、小宮由やく、大日本図書)掲載:『岐阜新聞』2016.8
ハリーは、くろいぶちのある白(しろ)い犬(いぬ)です。ハリーのいえのおとなりさんは、うたをうたいます。とてもたかくて大(おお)きなこえでうたうので、ハリーはいつも耳(みみ)がいたくなってしまいます。おとなりさんの大きなこえといったら、しょうぼうしゃのサイレンよりも大きいのですよ! こまったハリーは、なんとかしておとなりさんのうたをやめさせようと色々(いろいろ)なさくせんをかんがえます。はたしてうまくいくのでしょうか?絵本(えほん)「どろんこハリー」でおなじみのハリーが、だいかつやくします。

『コービーの海』

(ベン・マイケルセン作、代田亜香子訳、鈴木出版)
コービーは四年前、交(こう)通(つう)事故(じこ)にあい、人生が変(か)わってしまいました。右(みぎ)脚(あし)の一部(いちぶ)が義足(ぎそく)になったのです。コービーにとって、事故にあったあの日のことを忘(わす)れさせてくれるものは、ただひとつ、海だけでした。ある日、コービーは、浅瀬(あさせ)で座礁(ざしょう)していたクジラの親子を助けます。クジラの親子は、海洋(かいよう)保護(ほご)班(はん)のプールにはこばれ、治療(ちりょう)を受けることになりました。事故にあってから、ずっと自分の殻(から)にとじこもっていたコービーでしたが、クジラの親子との出会いをきっかけに、自分の周りの様々(さまざま)なことを受け入れていきます。

『ボタンちゃん』

(小川洋子作、岡田千晶絵、PHP研究所)掲載:『岐阜新聞』2016.7
このおはなしの主人公(しゅじんこう)のボタンちゃんは、丸(まる)いお顔(かお)の女(おんな)の子(こ)。アンナちゃんのブラウスの一番上(いちばんうえ)にとまっています。ある日(ひ)、ボタンちゃんをブラウスにとめていた糸(いと)が、なにかのひょうしに切(き)れてしまいました。ボタンちゃんは、コロコロコロところがって、やがておもちゃ箱(ばこ)のうらがわにたどりつきます。そこは、うすぐらくて、はじめて目(め)にする世界(せかい)でした。すると、どこからか小(ちい)さな泣(な)き声(ごえ)がきこえてきます。ボタンちゃんはそこで、アンナちゃんの思(おも)い出(で)のものたちに出会(であ)いますが・・・。

『木のすきなケイトさん』

(H.ジョゼフ・ホプキンズ文、ジル・マケルマリー絵、池本佐恵子訳、BL出版)
南カリフォルニアのサンディエゴという町は、かつて砂漠(さばく)の町でした。人々はみんな、こんな乾(かわ)いた場所(ばしょ)に木なんて育(そだ)つはずがないと思っていたのです。1883年にこのサンディエゴにやってきたケイトは、北カリフォルニアの森で育ち、子どものころから木や森が大すきだった女性(じょせい)です。サンディエゴの町にも木がほしいと思ったケイトは、砂漠でも育つ木を探(さが)すことにしました。ケイトが探し、育てた木は、やがてサンディエゴの町を緑(みどり)いっぱいにしていきます。砂漠を緑の町にかえたケイトさんの物語(ものがたり)です。

『みずたまのたび』

(アンヌ・クロザさく、こだましおりやく、西村書店)掲載:『岐阜新聞』2016.6
このおはなしの主人公(しゅじんこう)は、ちいさなみずたま。ネコがみずをのんだボウルのそこに、ひとつぶのみずたまがのこりました。みずたまは、おひさまのおかげで、ちいさなちいさなつぶになり、空(そら)にまいあがります。そのまま、雲(くも)のなかでひとやすみし、風(かぜ)にはこばれて、雨(あめ)になりました。雨(あめ)となってふたたび地上(ちじょう)にもどったみずたまは、土(つち)の中(なか)や川(かわ)や海(うみ)をたんけんして、さまざまな生(い)き物(もの)にも出会(であ)います。ひとつぶのみずたまのぼうけんを通(とお)して、水(みず)の循環(じゅんかん)について知(し)ることができるおはなしです。

『茶畑のジャヤ』

(中川 なをみ作、鈴木出版)
成績(せいせき)がいつも一番(ばん)であることをからかわれて、クラスメイトから仲間(なかま)はずれにされている小学5年生の周(しゅう)。学校に行くのがつらいと思っていた時、スリランカで仕事(しごと)をしている祖父(そふ)から誘(さそ)われ、学校を休んで一緒(いっしょ)にスリランカへ行くことになりました。現地(げんち)の運転手(うんてんしゅ)であるセナや、娘(むすめ)のジャヤと出会った周は、スリランカが抱(かか)える民族(みんぞく)問題(もんだい)や内戦(ないせん)についての悲(かな)しい歴史(れきし)を知ります。「たくさん想像(そうぞう)できる人は、人を殺(ころ)さない」というセナの言葉(ことば)を聞き、周はそれを自分の周(まわ)りに置(お)き換(か)えて考(かんが)え始(はじ)めます。スリランカへの旅(たび)で、少し強(つよ)くなった少年のおはなしです。

『スプーン王子のぼうけん』

(竹下文子作、こばようこ絵、鈴木出版)掲載:『岐阜新聞』2016.5
あるくにに、スプーン王子(おうじ)という王子さまがいました。王子さまには、お気(き)に入(い)りのスプーンがあったので、みんなからそう呼(よ)ばれているのです。ある日、王子さまは、りゅうたいじに出(で)かけます。むかし、みんなを困(こま)らせるわるいりゅうをたおしたという、ひいひいひいおじいさんのまねをしてみたくなったのです。うまにのって、りゅうの山まで来(き)た王子さまは、そこでけんかをしている三匹(さんびき)のりゅうと出会(であ)いました。王子さまは、れいぎ正(ただ)しく「こんにちは!」とりゅうたちに声(こえ)をかけますが・・・。ちょっとくいしんぼうで、しりたがりやの王子さまのおはなしです。

『オンネリとアンネリのおうち』

(マリヤッタ・クレンニエミ作、マイヤ・カルマ絵、渡部翠訳、福音館書店)
オンネリとアンネリはおなじ学校(がっこう)に通(かよ)う親友(しんゆう)同士(どうし)。ふたりは入学式(にゅうがくしき)の日に出会って、それ以来(いらい)大(だい)のなかよしになりました。オンネリのおうちは、大家族(だいかぞく)です。きょうだいが多(おお)すぎて、あまりかまってもらえません。アンネリは、両親(りょうしん)が別居(べっきょ)しているので、両方(りょうほう)のおうちを行(い)ったり来(き)たりしています。夏休(なつやす)みのある日、ふたりは、ひょんなことから「小(ちい)さな女(おんな)の子(こ)がふたりで住(す)むおうち」を手(て)に入(い)れました。そこは、オンネリとアンネリにぴったりの、夢(ゆめ)のようなおうちでした。

『あめ・のち・ともだち』

(北原未夏子作、市居みか絵、国土社)掲載:『岐阜新聞』2016.4
トモキの八歳(さい)のたんじょう日(び)に、とおくに引(ひ)っ越(こ)したともだちのゴウくんがあそびにきてくれることになりました。とてもたのしみにしていたトモキでしたが、たんじょうび当日(とうじつ)、ゴウくんのおうちの車(くるま)が動(うご)かなくなって、来(こ)られなくなってしまいます。トモキがかなしくて泣(な)きわめいていると、ゴウくんがいなくなったと連絡(れんらく)がありました。お母(かあ)さんの携帯(けいたい)電話(でんわ)にとどいていた謎(なぞ)の暗号(あんごう)を見(み)て、ゴウくんが自分(じぶん)に会(あ)いにこようとしていると確信(かくしん)したトモキは、家(いえ)を飛(と)び出(だ)します。二人は会うことができるのでしょうか。

『それぞれの名前』

(春間美幸著、講談社)
チカとユカは、一卵性(いちらんせい)の双子(ふたご)です。顔(かお)も体型(たいけい)もそっくりで、そのうえ服装(ふくそう)や髪型(かみがた)もいつもおそろい。だからしょっちゅう間違(まちが)われてしまいます。五年生のクラス替えで、ふたりは初めて同じクラスになりました。ユカは、クラスメイトに間違えられたって、二人ずっと同じで居続(いつづ)けたいと思っていました。でも、チカは大好きな千代田(ちよだ)君には見分けてもらいたいといいます。双子だからといって、チカの気持ちが全(すべ)てわかるわけではなく、ユカは悩(なや)んでしまいますが・・・。六人の登場(とうじょう)人物(じんぶつ)それぞれの視点(してん)で語(かた)られる、名前をテーマにしたおはなしです。

『ねこの風つくり工場』

(みずのよしえ作、いづのかじ絵、偕成社)掲載:『岐阜新聞』2016.3
町(まち)の大通(おおどお)りからすこしはなれた小高(こだか)い場所(ばしょ)に、いつも忙(いそが)しそうな音(おと)をたてている工場(こうじょう)があります。ここは、風(かぜ)をつくる工場。しかも、はたらいているのはねこたちです。かいねこものらねこも、町のねこのたいていが、人間(にんげん)たちにはないしょでこの工場ではたらいているのです。会議(かいぎ)をひらいてあしたの風の種類(しゅるい)をきめるしごとや、風の材料(ざいりょう)を町から集めてくるしごと、風についての研究(けんきゅう)をするしごとなど、ここにはたくさんのしごとがあります。みなさんも、ねこたちのひみつの工場をのぞいてみませんか。

『風のヒルクライム ぼくらの自転車ロードレース』

(加部鈴子作、岩崎書店)
十三歳(さい)の誕生(たんじょう)日(び)の朝突然(とつぜん)、涼(りょう)太(た)のもとにスカイブルーのロードバイクが届(とど)きます。不思議(ふしぎ)に思った涼太でしたが、それはお父さんからの誕生日プレゼントでした。お父さんは、ほしいとも言っていないのにロードバイクを買ってきて、さらに笠(かさ)城山(ぎやま)でのレースにも勝手(かって)に申(もう)し込(こ)んできたというではありませんか。涼太は腹(はら)が立って仕方がありません。しかし、お父さんのペースに乗(の)せられ、レースに出ることになってしまいました。レース当日(とうじつ)。たくさんの選手(せんしゅ)がひとつのゴールをめざしています。涼太は無事(ぶじ)に完走(かんそう)することができるのでしょうか。

『ディキシーと世界一の赤い車』

(シャーリー・ヒューズ文、クララ・ヴリアミー絵、三辺律子訳、あすなろ書房)掲載:『岐阜新聞』2016.2
いぬのディキシー・オデイの車(くるま)は、赤(あか)いオープンカー。決(けっ)してあたらしくはないけれど、とてもだいじに手入(てい)れをしているので、いつもぴっかぴかです。ともだちのパーシーも車をみがくのを手伝(てつだ)ってくれます。あるとき、ディキシーが住(す)んでいるディズワースから、となり町(まち)のドッズワースまでのラリー開催(かいさい)が決(き)まりました。ディキシーもパーシーといっしょに参加(さんか)することにしましたが・・・。ラリーの結果(けっか)はどうなるのでしょうか。ドライブがだいすきなニ匹(ひき)のおはなしです。

『目の見えない子ねこ、どろっぷ』

(沢田俊子文、田中六大絵、講談社)
ある日、小学生のつぐみがガレージで見つけた子ねこは、目の病気(びょうき)にかかっていました。子ねこを助(たす)けるためには、病院(びょういん)で目玉をとる手術(しゅじゅつ)をするしかありません。どうしても助けたいと思ったつぐみは、手術をしてもらえるよう、お母さんに頼(たの)みました。命にもかかわる大変(たいへん)な手術を無事(ぶじ)終(お)えた子ねこは、どろっぷと名づけられて、つぐみの家の子になりました。つぐみの家(いえ)にはねこが三匹います。最初はこわがっていたどろっぷも、三匹に見守(みまも)られて、だんだんとできることが増(ふ)えていきました。実話(じつわ)がもとになった、目の見えない子ねこと、女の子のものがたりです。

『それいけ!ぼっこくん』

(富安陽子作、小松良佳絵、偕成社)掲載:『岐阜新聞』2016.1
タマネギあたまのぼっこくんは、家(いえ)をまもるちいさな神(かみ)さまです。ぼっこくんのおしごとは、家のなかの「チミモー」を、まほうのほうきを使(つか)って外(そと)にはきだすこと。「チミモー」とは、わざわいをはこんでくるちいさなようかいです。ある日、ぼっこくんは、百二十年(ひゃくにじゅうねん)もの間(あいだ)まもりつづけてきたおじいさんの家から、まごのケイタくんが住(す)んでいる町(まち)のマンションに引(ひ)っ越(こ)すことになりました。しかしそこには、「モーリョーおやぶん」というチミモーたちのおやだまがいたのです・・・。ちいさくて元気(げんき)な神さまのおはなしです。

『ひつじのブルル』

(さいとうのりこ作、矢島眞澄絵、PHP研究所)
ハッピー牧場(ぼくじょう)に、とってもさむがりの子(こ)ひつじがいました。この子ひつじは、いつもブルブルふるえていたので、「ブルル」とよばれていました。長(なが)い冬(ふゆ)がおわり、春(はる)になると、牧場では、ひつじたちの毛(け)がりがはじまります。きょねんの春に生(う)まれたブルルにとっては、これがはじめての毛がりです。どんどん毛をかられて、まるはだかにされていく仲間(なかま)のひつじたちを見(み)て、こわくてたまらなくなったブルルは、ついににげ出(だ)してしまいました。ブルルの毛は、どうなってしまうのでしょうか。

平成27(2015)年

『被災犬「じゃがいも」の挑戦』

(山口 常夫文、岩崎書店)掲載:『岐阜新聞』2015.12
みなさんは、この岐阜県(ぎふけん)で災害(さいがい)救助(きゅうじょ)犬(けん)になるために頑張(がんば)っている犬がいることを知っていますか?東日本(ひがしにほん)大震災後(だいしんさいご)に、福島県(ふくしまけん)飯(いい)舘(たて)村(むら)で生まれた雑種(ざっしゅ)犬(けん)の「じゃがいも」は、生まれ故郷(こきょう)から800キロ離(はな)れた岐阜県にある日本(にほん)動物(どうぶつ)介護(かいご)センターで、災害救助犬になるために訓練中(くんれんちゅう)です。災害救助犬として活躍(かつやく)するには、試験(しけん)に合格(ごうかく)しなければなりません。じゃがいもは、この試験に何度か挑戦(ちょうせん)していますが、合格することはできませんでした。それでもあきらめず、今も訓練をしつづけています。試験に落ちても挑戦し続ける被災(ひさい)犬(けん)のおはなしです。

『金色のキャベツ』

(堀米薫作、佐藤真紀子絵、そうえん社)
塾(じゅく)と習い事に追われて、忙しい日々を送っている小学五年生の風(ふう)香(か)は、ママのちょっとしたひとことにもすぐにイライラしてしまう年ごろです。夏休みのある日、鹿(か)狼(ろう)村(むら)で農業(のうぎょう)をしている叔父(おじ)の「仁ちゃん」からキャベツが届(とど)きます。キャベツとともに入っていた「遊びにこい!」というメッセージを見た風香は、両親(りょうしん)に内緒(ないしょ)で鹿狼村に行くことに決めました。電車を乗(の)り継(つ)ぎ、やっとのことでたどりついたそこには、一面(いちめん)のキャベツ畑と、「キャベツで生きてる」人たちがいました。農作業(のうさぎょう)を手伝いながらすごした三日間で、風香の心にはだんだんと変化が生まれていきます。

『アレハンドロの大旅行』

(きたむらえりさく・え、福音館書店)掲載:『岐阜新聞』2015.11
イノシシのアレハンドロのうちは、みんなおしゃべりが大好(だいす)きで、いつもとてもにぎやかです。しかし、家族(かぞく)の中でアレハンドロだけは、なにも話(はな)さないおとなしい子でした。それを心配(しんぱい)した両親(りょうしん)は、ある日、アレハンドロをとおくの丘(おか)にひとりで行かせることにしました。そうすれば話すようになると、うらないしに言われたからです。みんなにみおくられて、しゅっぱつしたアレハンドロ。無事(ぶじ)にとおくの丘まで行き、話すようになって帰(かえ)ってくるのでしょうか。はじめての大旅行(だいりょこう)のおはなしです。

『消えた犬と野原の魔法』

(フィリパ・ピアス作、ヘレン・クレイグ絵、さくまゆみこ訳、徳間書店)
ある日、散歩中(さんぽちゅう)に犬のベスがいなくなってしまい、悲(かな)しみに沈(しず)んでいたティル。その夜、ティルは庭(にわ)木戸(きど)のところで誰(だれ)かが待(ま)っている夢(ゆめ)を見ました。朝早く起(お)きて庭木戸へ行ってみると、そこには、「見つけ屋(や)」だという、ちいさいきみょうなおじいさんが立っていました。ティルはおじいさんに、ベスがいなくなったときのことを話しました。おじいさんと一緒(いっしょ)に、ベスがいなくなった野原(のはら)に行ってみると、そこで不思議(ふしぎ)なことが次々と起こります。消えた犬のベスは戻(もど)ってくるのでしょうか。

『コケシちゃん』

(佐藤まどか作、木村いこ絵、フレーベル館)掲載:『岐阜新聞』2015.10
小学四年生のくるみのクラスに、体験(たいけん)入学生(にゅうがくせい)が来ることになりました。スイスからやってきた田口(たぐち)京(きょう)ちゃんは、見た目は日本人そのもの。しかも黒髪(くろかみ)のおかっぱで、まるでコケシみたいです。そんな京ちゃんですが、中身(なかみ)は全(まった)く日本人っぽくありません。自分の意見(いけん)ははっきり言い、クラス一いじわるな出井(でい)君(くん)にからかわれたって、どうどうとしています。内気(うちき)な自分とは正反対(せいはんたい)の京ちゃんに戸惑(とまど)ってしまうくるみ。しかし、お互(たが)いのことを話(はな)すうちに、二人はだんだん仲良(なかよ)くなっていきます。ちがうってなんだろう。自分の国のことや友達(ともだち)のことを考えるきっかけになる一冊です。

『声の出ないぼくとマリさんの一週間』

(松本聰美作、渡邊智子絵、汐文社)
「いやなんだよ、おまえのこと。」クラスの友達(ともだち)に言われた言葉(ことば)がきっかけで、声が出なくなり、学校にも行けなくなってしまった小学五年生のシン。ママがアメリカへ出張(しゅっちょう)に行くあいだ、シンはママの幼(おさな)なじみの「マリさん」のお家(うち)で過(す)ごすことになりました。待(ま)ち合(あ)わせの三鷹駅(みたかえき)で、「シンちゃん。」と声をかけてきたのは、ぴったりした黒いパンツに派手(はで)なブラウス、そして重そうなつけまつげの、がっちりした背(せ)の高(たか)い女の人でした・・・。オトコかオンナかわからない、不思議(ふしぎ)なマリさんとの一週間がはじまります。

『ハカバ・トラベルえいぎょうちゅう』

(柏葉幸子作、たごもりのりこ絵、BL出版)掲載:『岐阜新聞』2015.9
てらまちしょうてんがいのはずれにある、テラマチ・トラベル。そこは、「ハカバ・トラベル」ともよばれていて、たまにゆうれいのお客(きゃく)さんがやってきます。学校(がっこう)の帰(かえ)りに、テラマチ・トラベルでゆうれいのお客さんと出会(であ)ってしまったまことは、ゆうれいをおしろまでりょこうにつれていってあげることにしました。風(かぜ)にとばされてしまったり、ゆうびんやさんのバイクにひっかかったり、ゆうれいとのりょこうはハプニングだらけです。まことは、無事(ぶじ)にゆうれいをおしろまでつれていってあげることができるでしょうか。

『しろくまだって』

(斉藤洋作、高畠純絵、小峰書店)
しろくまの兄弟(きょうだい)のマルクとカールは、「しろくまじるしの宅配便(たくはいびん)」という会社ではたらいています。荷車(にぐるま)で荷物(にもつ)のはいたつをするふたりは、町の人気者(にんきもの)です。ふたりは人間(にんげん)のことばをしゃべることができるので、町の人々(ひとびと)はみんな、マルクとカールのことをしろくまのぬいぐるみを着(き)た人間だと思っています。遊園地(ゆうえんち)に行ったり、プロレスの試合(しあい)を見に行ったり・・・そんなマルクとカールのくらし、少しだけのぞいてみませんか。でも、ふたりがほんとうのしろくまだってことは、みんなには内緒(ないしょ)ですよ。シリーズ「やっぱりしろくま」、「いつでもしろくま」もあります。

『しゅくだいさかあがり』

(福田岩緒作・絵、PHP研究所)掲載:『岐阜新聞』2015.8
「さかあがりのできない子は、夏休(なつやす)みのしゅくだいにする。」一(いち)学期(がっき)の終(お)わりに、担任(たんにん)の坂野(さかの)先生(せんせい)はそう言いました。ゆうたは、さかあがりができない子のうちの一人です。何度(なんど)も何度も練習(れんしゅう)をするゆうたですが、なかなかうまくできません。できない自分にはらが立って、練習に付き合ってくれていたさとしにも、やつあたりをしてしまいました。「さかあがりなんか、もうどうでもよくなった。」と、一度(いちど)は思ったゆうたでしたが、やっぱり気になってしまって・・・。ゆうたは、さかあがりのしゅくだいを無事(ぶじ)に終わらせることができるでしょうか。

『夏休みに、翡翠をさがした』

(岡田依世子作、岡本順絵、アリス館)
小学生最後の夏休み、玉江(たまえ)は、お金がほしいといういとこの哲(てっ)平(ぺい)と、同級生(どうきゅうせい)の信彦(のぶひこ)とともに翡翠(ひすい)をさがすことになりました。玉江が住む町では、海岸(かいがん)で翡翠をひろうことができます。ひろった翡翠を売って、おこづかいにしようという考えです。しかし、海岸では翡翠を見つけられなかった三人。翡翠取り名人だった玉江のおじいちゃんが書いたという掛(か)け軸(じく)をヒントに、三人は立ち入り禁止になっているスイコミ平(だいら)の竪穴(たてあな)洞窟(どうくつ)まで翡翠をさがしに行きますが・・・。夏休みの読書にぴったりのおはなしです。

『かぐやのかご』

(塩野米松作、はまのゆか絵、佼成出版社)掲載:『岐阜新聞』2015.7
学校からの帰り道、わざと人のいない道を選んで、大声で泣いていた清(さや)香(か)。同じクラスの男子にからかわれて悔しかったけれど、みんなの前では泣くのを我慢(がまん)していたのです。するとそこに、竹のたばを抱えたおばあちゃんがあらわれます。おばあちゃんは、ザルつくりの名人で、材料の竹をとりに来ていました。はじめはとまどっていた清香でしたが、見事な手さばきで竹を編(あ)んでいくおばあちゃんに、だんだん心を開いていきます。九歳の清香と八十歳のおばあちゃんの友情をえがいたおはなしです。

『ぼくの、ひかり色の絵の具』

(西村すぐり作、大野八生絵、ポプラ社)
図画工作の時間、「自分でみつけたすてきなもの」の写生(しゃせい)をすることになりました。絵(え)が得意(とくい)なユクは、「てんぐんじょう」の絵を描(か)きます。しかし、担任の石丸(いしまる)先生の一言で、納得(なっとく)のいかない絵を描くことになってしまったユクは、放課後(ほうかご)、自分が描いた絵をやぶって捨ててしまいました。傷(きず)ついたユクでしたが、ウツギ・カエデ夫妻(ふさい)との出会いや、友だちのハネズの支えによって、しだいに絵を描くことの意味(いみ)を理解(りかい)していきます。人づきあいが苦手なユクが、絵を描くことを通して少しずつ成長(せいちょう)していくおはなしです。

『クレヨンからのおねがい!』

(ドリュー・デイウォルト文、オリヴァー・ジェファーズ絵、木坂涼訳、ほるぷ出版)掲載:『岐阜新聞』2015.6
ある日、ケビンが絵(え)をかこうとすると、クレヨンのはこの上に、てがみがたくさんおいてありました。よんでみると、それはぜんぶクレヨンからのてがみだったのです。あかいクレヨンが、はたらきすぎているから休ませてほしいと言っているかと思えば、きいろのクレヨンとだいだいいろのクレヨンは、じぶんこそがおひさまのいろだと言いはって、けんかをしています。クレヨンによっても言いたいことはいろいろなようです。このおはなしをよめば、みなさんがいつも使(つか)っているクレヨンのきもちがわかるかもしれませんよ。

『お話きかせてクリストフ』

(ニキ・コーンウェル作、中山成子絵、渋谷弘子訳、文研出版)
内戦(ないせん)がつづくルワンダからイギリスの小学校にやってきたクリストフ。彼は、本に書かれたお話を読むことがきらいでした。お話は、読むものではなく、身ぶり手ぶりをつかって話すものだと思っていたからです。ある日、友達とサッカーをしていたクリストフは、おなかにあるきずあとを見られてしまいます。ルワンダで兵士(へいし)に撃(う)たれたときのきずあとです。クラスのみんなにきずあとについて聞かれたクリストフは、ルワンダで経験(けいけん)したことや、どうしてイギリスにくることになったのか、話しはじめたのでした。

『ふたりは世界一!』

(アンドレス・バルバ作、宇野和美訳、おくやまゆか絵、偕成社)掲載:『岐阜新聞』2015.5
記録を作るのが大好きな、小さな男の子フワニート・トットと大きな女の子ベロニカ・フルット。二人はなぞの世界記録男、クラウス・ウィンターモルゲンに挑戦することになりました。三十日以内に彼が破ることのできない記録を作らなければ、彼の助手として一生働くことになってしまいます。フワニートとベロニカは、片足とび、海の水のみ、ヤシの実を頭でわることなど、ありとあらゆる記録に挑んでいきますが・・・。二人はウィンターモルゲンに負けない世界一の記録をつくることができるのでしょうか。

『先生、しゅくだいわすれました』

(山本悦子作、佐藤真紀子絵、童心社)
ある朝、しゅくだいをわすれてしまったゆうすけ。ウソをついてごまかそうとしますが、えりこ先生にはお見とおしです。えりこ先生は、「ウソをつくなら、聞いた相手が楽しくなるようなのじゃなくっちゃ。」と言います。それを聞いたゆうすけは、次の日もしゅくだいをわすれます。そして、先生に理由を聞かれると、得意になって説明をはじめました。さあ、どんな理由が出てくるのでしょうか。いろいろな「しゅくだいができなかったわけ」が面白いおはなしです。

『ミリー・モリー・マンデーとともだち』

(ジョイス・L・ブリスリー作、上條由美子訳、菊池恭子絵、福音館書店)掲載:『岐阜新聞』2015.3
ミリー・モリー・マンデーは、みじかいかみ、みじかい足に、みじかい服を着た元気いっぱいの女の子。ある日、おじさんが、まきばにある大きなカシの木のうろに板をひいて、ミリー・モリー・マンデーの巣をつくってくれました。ミリー・モリー・マンデーは大喜びです。さっそく、お友だちのスーザンやビリー・ブラントを呼んで、その巣の中でお茶会をたのしみます。ほかにも、ブラックベリーをつみに行ったり、そりすべりをしたり、ミリー・モリー・マンデーのたのしい日々のおはなしがたくさんはいっています。

『わたしちゃん』

(石井睦美作、平澤朋子絵、小峰書店)
パパの仕事の都合で、この町に引っ越してきたまり。この町には、まりのだいすきな海がありません。前の町で一緒に住んでいたおじいちゃんとおばあちゃん、そして、なかよしのともだちとも離れてしまいました。つまらなくて、公園に出かけたまりは、途中で一人の女の子に出会います。二人はすぐに仲良くなって、一緒におままごとをして遊びました。たくさん遊んだあと、まりは女の子に名前を聞きます。すると、女の子は「わたし」と答えたのでした。まりと、「わたしちゃん」のちょっぴり不思議なおはなしです。

『ひとつのねがい』

(はまだひろすけ作、しまだしほ絵、理論社)掲載:『岐阜新聞』2015.2
このおはなしの主人公は、年をとった一本のがい灯です。がい灯は、もうすぐ自分がたおれてしまうということが分かっていたので、ながいあいだ持ちつづけていた、ひとつのねがいを叶えたいと思っていました。それは、たった一度だけでいい、星のようなあかりくらいになってみたい、ということです。「星のようだ。」それだけでいい、だれか言ってくれないだろうか。そう思っていましたが、今まで誰もそんなふうに言ってくれる人はいませんでした。星のようなあかりに。そのねがいは叶うのでしょうか。

『戦場のオレンジ』

(エリザベス・レアード作、石谷尚子訳、評論社)
爆撃によって家を破壊され、母親が行方不明になってしまった十歳の少女アイーシャ。おばあちゃんとふたりの弟と一緒に、ベイルートの町のこわれたアパートに身を寄せ合って暮らし始めます。アイーシャは、そこで同い年の女の子・サマルと出会います。サマルは耳が聞こえませんでしたが、手話を教えてもらい、ふたりはすぐに仲良くなりました。ある日、おばあちゃんの体調が悪くなってしまいます。おばあちゃんを助けるためには、グリーンラインの向こう側まで薬をもらいに行かねばなりませんが・・・。勇敢な少女のおはなしです。

『ベイジル ねずみの国のシャーロック・ホームズ』

(イブ・タイタス作、ポール・ガルドン絵、晴海耕平訳、童話館出版)掲載:『岐阜新聞』2015.1
みなさんは、ねずみの国にもシャーロック・ホームズのような名探偵がいることを知っていますか?その名探偵の名前はベイジル。彼は、人間のシャーロック・ホームズ氏を師とあおぎ、助手であるドーソン博士とともに、いろいろな事件を解決しています。ある日、彼らの近所に住むふたごの姉妹が、恐怖の三人組という悪党に誘拐されてしまいます。ベイジルたちは、無事ふたごの姉妹を助けることができるのでしょうか。そして、恐怖の三人組の目的とは。ロンドンを舞台にした、ねずみの名探偵のおはなしです。

『きえた犬のえ』

(マージョリー・W・シャーマット文、マーク・シーモント絵、光吉夏弥訳、大日本図書)
ネートは、様々な事件を解決する名探偵。パンケーキが大好きで、事件のときは、探偵らしいかっこうをして、ママにおきてがみをしてから出かけます。この日も、大好きなパンケーキを食べていたら、突然友達のアニーから電話がかかってきました。アニーが黄色の絵の具で描いた、犬のファングの絵がなくなってしまったというのです。ネートは、きえた犬の絵を探すため、アニーのおうちを訪れます。名探偵ネートの、見事ななぞときが楽しめるおはなしです。

平成26(2014)年

『氷の巨人コーリン』

(サカリアス・トペリウス原作、スズキ コージ文・絵、集英社)掲載:『岐阜新聞』2014.12
氷の巨人コーリンは、いつもは氷山のなかで寝ていますが、100年にいちど目を覚まし、世の中を見わたします。ある年、コーリンはクリスマスのすこし前に目を覚ましました。めしつかいのデビルキンと一緒に、ヨートゥンヘイムを何歩か歩いたのち、コーリンが足をおろしたのは、フィンランドの小さな村の近くでした。コーリンは、そこでチビッコとなぞなぞ合戦をすることになりましたが・・・ちょっとまぬけだけど、やさしい巨人のおはなしです。

『ゾウの鼻が長いわけ』

(ラドヤード・キプリング作、 藤松玲子訳、岩波書店)
なんでもかんでも知りたい年ごろのゾウくんは、なんでもかんでも質問をします。ゾウくんの質問攻めにうんざりした大人たちは、ピシャリ、と追い払いますが、それでもゾウくんの知りたがりがおさまることはありません。そんなゾウくんは、ある日、ワニが何を食べるのか知りたくなって、リンポポ川に出かけていきました。リンポポ川でワニと出会ったゾウくんは、「ワニは何を食べるの?」と質問しますが、なんと、そこでワニに鼻をかまれてしまいます。ゾウくんの鼻はどうなってしまうのでしょうか。このほか、全部で12のお話が入っています。

『とんだ、とべた、またとべた!』

(森山京作、黒井健絵、ポプラ社)掲載:『岐阜新聞』2014.11
高い木の上にあるおうちに住むリスのおじいさん。日も暮れて、近くであそんでいたこどもたちが帰ったころ、クマのこが木の下でなわとびの練習をしているのを見つけます。はじめは五回しかとべなかったクマのこですが、毎日練習していくうちにとべる回数がどんどん増えていきました。ずっとだまってこっそり見ていたのに、クマのこが十回とべた時、リスのおじいさんはうれしくてつい、「やったね、えらいっ!」と大声を出してしまって・・・

『花曜日』

(安江生代作、ふりやかよこ絵、文研出版)
知らない人に親切にすることは、とても勇気のいることです。小学4年生のカヤは、困っている人がいても、知らない人なら親切にする必要はないと思っていました。しかし、同じクラスで仲良くなったルミと一緒にいるうちに、カヤの考えは変わっていきます。ルミには「花曜日(はなようび)」という秘密の言葉があるようです。カヤはそれがどんな意味なのか知りたいと思いましたが、ルミは「そのうちわかるよ」と言って教えてはくれません。「花曜日」にはどんな意味があるのでしょうか。

『こぎつねボック』

(いまむらあしこ作、鎌田暢子絵、文研出版)掲載:『岐阜新聞』2014.10
こぎつねのボックは、みんながすることならなんでもやってみたがるおとこの子。お手伝いもいっしょうけんめいするのですが、上手にできません。とうさんやかあさんには「もういいから、あそんでおいで。」と言われ、くやしくてたまらないボックは、ある日、おこって家をとびだします。心配になった家族は、みんなでボックを探しにいきます。途中で、のうさぎやくま、ふくろうに出会い、家族はボックの思いを知るのでした。ボックのはじめての家出は、どんな冒険になるのでしょうか。

『あたしがおうちに帰る旅』

(ニコラ・デイビス作、代田亜香子絵、小学館)
ペットショップで働かされている女の子・イヌ。もちろん本当の犬ではなく、このペットショップのおじさんがそう呼んでいるのです。イヌはずいぶん前にここに連れてこられました。前どこにいたかも、自分の本当の名前も覚えていません。おじさんに怯えながら過ごす毎日です。彼女の友達は、ハナグマのエズミと、最近やってきた喋るオウムのカルロス。ある日、イヌたちは、おじさんの隙を見て、ペットショップから逃げ出すことに成功します。「自由って、すてきだ。でも、ちょっとこわい。」イヌと二匹がおうちへ帰る旅を描いた物語です。

『おさきにどうぞ』

(森山京作、ささめやゆき絵、文溪堂)掲載:『岐阜新聞』2014.9
公園へ急いでいたブタのこ。前を歩いていたネコのおばあさんは、「おさきにどうぞ」と言って、ブタのこに道をゆずってくれました。ネコのおばあさんは、一度も振り返らないのに、ブタのこが後ろにいることがわかっていたようでした。ブタのこは、ネコのおばあさんの笑顔と「おさきにどうぞ」ということばが忘れられません。ある日、クマさんのお家に行ったブタのこは、そこでネコのおばあさんと再会します。読み終わったあと、あたたかい気持ちになれるおはなしです。

『にじ・じいさん』

(くすのきしげのり作、おぐらひろかず絵、BL出版)
「にじが、かかりますように。一年二くみ(そらのにじ子)」そう書かれたたんざくが、風にはこばれてきました。これを見た白ハトのクルルは、にじをかけてくれるという、にじ・じいさんを探しに行きます。にじ・じいさんは、遠い遠い山おくに住んでいました。長い間飛び続け、やっと、にじ・じいさんに会うことができたクルルでしたが、にじをかけるのはたいへんな大しごとのようで・・・?にじ・じいさんはどうやってにじをかけるのでしょうか。

『やさしい大おとこ』

(ルイス・スロボドキン作・絵、こみやゆう訳、徳間書店)掲載:『岐阜新聞』2014.8
むかし、山の上のお城に、大おとこが住んでいました。大おとこは、ふもとの村の人々と友達になりたいと思い、たびたび村を訪れますが、彼の気持ちはなかなか伝わりません。それどころか、わるいまほう使いのせいで、村の人たちから怖がられてしまうばかりです。ある日、村に住む女の子グエンドリンは、偶然、大おとこがやさしい人であることを知ります。グエンドリンの話を聞いた村長は、「考えがある」と言いますが・・・。大おとこは村の人たちと友達になることができるのでしょうか。

『べんり屋、寺岡の夏。』

(中山聖子作、文研出版)
小学五年生の寺岡美舟は、将来はコツコツと働いて、地道にまっとうに生きていきたいと思っている、とても現実的な女の子。そう思うようになったのは、売れない画家で、ろくに家にもいない父を見てきたからなのでした。そんな美舟の夏休みは、家業であるべんり屋の手伝いで大忙しです。買い物、草むしり、犬さがし・・・など、舞い込んでくる様々な依頼をこなしながら、美舟や、彼女の周りの人たちが少しずつ前へ進んでいく様子が描かれていきます。夏休みの読書にもぴったりのおはなしです。

『どこかいきのバス』

(井上ようこ作、くすはら順子絵、文研出版)掲載:『岐阜新聞』2014.7
おかあさんとけんかして、家出をしたぼく。知らない道を走って、走って、とうとうすわりこんだ所に〈どこか〉行きのバスがやってきます。「ええい、どうせ家出するんだ、のっちゃえ。」バスに乗り込んだぼくは、このバスがなんだか変なことに気づきます。ほかに人は乗っていないし、バスなのにしゃべるのです。バスは潜水艇に、飛行船に、次々と姿を変え、ぼくを〈どこか〉につれていきます。ぼくの家出の結末はどうなるのでしょうか。ちょっと不思議なおはなしです。

『カブトムシ 山に帰る』

(山口進/著、汐文社)
みなさんは、体長が三センチほどしかない小さなカブトムシに出会ったことはありますか?この本では、昆虫写真家である著者が気付いた虫たちの変化と、彼らをとりまく環境の変化について書かれています。昆虫たちは、人々の暮らしとともに変化する環境のなかで、自分の体や生活を変えて、生き抜こうとしているといいます。カブトムシが好きな人はもちろん、そうでない人も、この本を読めば様々な発見があるかもしれません。私たち人間と昆虫たちの関係から、自然環境について考えさせられる本です。

『ともだちは、サティー!』

(大塚篤子作、タムラフキコ絵、小峰書店)掲載:『岐阜新聞』2014.6
仕事に行く父親に連れられて、夏休みにネパールへやってきた小学五年生のツトム。何日もかけてたどり着いたヤラ村で、十歳の少年・パニと出会います。父親は氷河の調査に行ってしまい、一人だけ村に残されたツトムは、パニと一緒に一ヶ月間の放牧に出ることになります。お互いの第一印象は最悪で、言葉もほとんど通じない二人ですが、果たしてサティー(ともだち)になれるのでしょうか・・・。日本とネパールの少年達の友情を描いた物語です。

『時をつなぐおもちゃの犬』

(マイケル・モーパーゴ作、マイケル・フォアマン絵、杉田七重訳、あかね書房)
イギリスの農場で育った十二歳の少女チャーリーは、「リトル・マンフレート」という犬のおもちゃを、母親がとても大切にしていることを不思議に思っていました。一九六六年の夏、チャーリーと弟のアレックスが海で遊んでいたとき、ヴァルターというドイツ人男性に出会います。ヴァルターはかつて、戦争捕虜として、この農場で生活をしたことがあったのでした。彼と出会ったことで、「リトル・マンフレート」への母の思いが明らかになります。

『トランプおじさんと家出してきたコブタ』

(たかどのほうこ作、にしむらあつこ絵、偕成社)掲載:『岐阜新聞』2014.5
村はずれの小さな家で犬と暮らしているトランプおじさんは、動物の言葉を話すことができます。ある日、トランプおじさんの家に家出をしたコブタがやって来ます。わけをたずねると、コブタの飼い主について悪いうわさを聞き、不安になって家を飛び出してきたというのです。町にやって来たサーカス団の中に、コブタの家で飼われていたワニがいることを知り、うわさの真相(しんそう)を確かめるため会いに行くことにします。ちょっと風(ふう)変(が)わりなトランプおじさんが、動物たちの謎(なぞ)を解(かい)決(けつ)する楽しいお話です。

『ネコの目からのぞいたら』

(シルヴァーナ・ガンドルフィ作、関口英子訳、ジュリア・オレッキア絵、岩波書店)
小学5年生のダンテは、家庭(かてい)教師(きょうし)のドレンテ先生が発明(はつめい)した薬(くすり)で、子ネコのウェルギリウスの目を通して物が見えるようになります。しかし、ドレンテ先生が亡(な)くなり、ウェルギリウスの行方(ゆくえ)も分からなくなってしまいます。居(い)場(ば)所(しょ)を探していると、突然(とつぜん)女の子が二人組の男にさらわれる場面が目に飛びこんできたのです。ダンテは女の子を助けるため、こっそり家を抜け出しますが・・・。不思議な能力を身に付けたダンテが、このできごとを通して成長していきます。

『ミサゴのくる谷』

(ジル・ルイス作、さくまゆみこ訳、評論社)掲載:『岐阜新聞』2014.4
カラムは同じクラスのアイオナから、保護(ほご)鳥(ちょう)であるミサゴが農場に巣(す)をつくっていることを教えられます。ミサゴがケガをしたのをきっかけに、カラムは野生(やせい)生物(せいぶつ)保護(ほご)官(かん)のヘイミッシュらの力を借りてミサゴに発信器(はっしんき)をつけ、友人たちとアフリカへ渡っていくミサゴを見守ることにしました。しかし、西アフリカのガンビアの湿地帯(しっちたい)で何日も移動していないことがわかり、不安になるカラムたちでしたが・・・。カラムがミサゴを通じて自然(しぜん)保護(ほご)について学び、様々な人々と友情を深めていく物語です。

『春の海、スナメリの浜』

(中山聖子作、江頭路子絵、佼成出版社)
四月から四年生になる由(ゆ)良(ら)は、春休みにおばあちゃんの家で過ごすことになります。近くの海岸までスナメリを見に行きましたが、友人や両親に対して悩(なや)みを抱(かか)えている由良(ゆら)はちっとも楽しくありません。おばあちゃんはそんな由良(ゆら)を水族館(すいぞくかん)へ誘(さそ)います。そこで出会ったスナメリは、由良(ゆら)に近づいて笑(わら)いかけてくれたように見えました。そのとたん、由良(ゆら)の心は軽くなり、自然と笑顔(えがお)になっていました。由良(ゆら)の心をいやしてくれたスナメリに会いたくなるお話です。

『ねずみのオスカーとはるのおくりもの』

(リリアン・ホーバン作、みはらいずみ訳、のら書店)掲載:『岐阜新聞』2014.3
ねずみのオスカーは、木のきりかぶの家でおとうさんとおかあさんとくらしています。雪の日、食べものをさがしにでかけたオスカーは、イースターバニーといううさぎに出会います。雪の中で春のお祭りのじゅんびをしていたうさぎは、オスカーにこういいます。「このゆきは、おさとうのゆきだもの。はるはもう、すぐそこまできているんだよ」と。「おさとうのゆき」とは、春が近づいて、カエデの木の中にあまいしるができるころにふる雪のこと。寒い冬がおわって、オスカーたちにはどんな春のおくりものがとどくでしょうか。

『キタキツネのおとうさん』

(竹田津実文、あべ弘士絵、福音館書店)
この本を書いた竹田津実さんは獣(じゅう)医師(いし)です。北海道東部の町でウシなどの家畜(かちく)の診療(しんりょう)をしながら、野生のキタキツネのくらしを観察しています。春はキタキツネの赤ちゃんがうまれる季節。子ギツネはお乳(ちち)をくれるやさしいおかあさんが大すきです。おとうさんはあまり人気がありませんが、子ギツネのためにせっせとえさを運びます。おとうさんギツネが子どもたちとジャンプして遊んだり、狩(か)りを教えたりと、おかあさんギツネと協力して子どもを育てるようすがたくさん紹介(しょうかい)されています。

『チャーメインと魔法の家』

(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作、市田泉訳、徳間書店)掲載:『岐阜新聞』2014.2
病気の治療中(ちりょうちゅう)の魔法使いの家で留守番(るすばん)をすることになった、本好きの女の子チャーメイン。魔法使いの家では、青い小人(こびと)が現れたり、ドアを開けると王宮や過去につながっていたりと、不思議なことばかり起こります。留守番を始めてから数日後、チャーメインは希(き)望(ぼう)がかない、王宮図書室で文書を整理する仕事をすることになります。そこで、王様から宝物(ほうもつ)庫(こ)の黄金を探すよう依頼(いらい)された、魔法使いハウルやソフィーたちと出会うのですが・・・。「ハウルの動く城」シリーズの三作目です。

『じゃんけんのすきな女の子』

(松岡享子作、大社玲子絵、学研教育出版)
じゃんけんの好きな女の子は、何をするにもじゃんけんで決めようとします。お母さんが「はをみがきなさい。」と言うと、「お母さんが勝ったらみがいてあげる。」といったぐあいです。じゃんけんをする相手がいない時は、右手と左手、タオルと石けんがじゃんけんをすることになるのですが、いつも女の子にとって都合(つごう)の良い結(けっ)果(か)になってしまうのです。ある日、女の子はとても大事なことを決めるため、ねことじゃんけんをしなければならなくなってしまいます。じゃんけんの好きな女の子のちょっと不思議なお話です。

『ホッキョクグマが教えてくれたこと ぼくの北極探検3000キロメートル』

(寺沢孝毅著、あべ弘士絵、ポプラ社)掲載:『岐阜新聞』2014.1
写真家(しゃしんか)の寺沢さんは、仕事でおとずれた北海道の知(しれ)床(とこ)半島で、流氷(りゅうひょう)が前よりもずいぶん減(へ)っていることに気が付きます。このなぞをとくため、そして雪や氷の中での動物たちの生活の変化を知るために、北極へ探検に行くことにしました。探検隊(たんけんたい)の生活場所は長さ二〇メートルのヨット。二九日間かけて、北極圏(ほっきょくけん)を航海(こうかい)します。ホッキョクグマやアザラシなど、きびしい自然の中でたくましく生きる動物たち。地球はこうした「多種多様(たしゅたよう)な命を乗せる宇宙(うちゅう)船(せん)」であることを実感(じっかん)できる一冊です。

『12種類の氷』

(エレン・ブライアン・オベッド文、バーバラ・マクリントック絵、福本友美子訳、ほるぷ出版)
真冬(まふゆ)の寒い朝、水たまりにはったうすい氷を足でふんで遊んだことはありませんか?この本を書いたエレン・ブライアン・オベッドさんは、アメリカのメイン州に住んでいます。そこでは冬になると小川や池がこおり、自然の中でスケートを楽しむことができます。われやすい初氷(はつごおり)から、雪がふる前の急な寒さでできた黒い氷、太陽の光できらきらとかがやくスケートリンクの氷、そして春が近づき「おしまいの氷」へ・・・。冬の季節の移り変わりとあたたかな家族のくらしを、美しい絵とともにえがきます。

平成25(2013)年

『林業少年』

(堀米薫作、スカイエマ絵、新日本出版)掲載:『岐阜新聞』2013.11
代々の山持ちの家に生まれた喜(き)樹(じゅ)は、山を守り続けている祖父の庄蔵(しょうぞう)から後(あと)を継(つ)ぐことを期待されています。ある日、百年杉を買いたいという客が現れ、喜樹は木材の取引や伐採(ばっさい)現場に立会い、普段とは違う祖父の姿を目の当たりにします。林業に魅力(みりょく)を感じながらも、後を継ぐことには消極的な喜樹でしたが、突然、姉の楓(かえで)が林業を勉強するため農学部を受験すると宣言(せんげん)し、戸惑(とまど)いを隠(かく)せません・・・。 バラバラだと思われていた家族が絆(きずな)を再確認し、前へ進んでいこうとする物語です。

『だれにも言えない約束』

(ジーン・ブッカー作、岡本さゆり訳、中山成子絵、文研出版)
イギリス北部の町に住むエレンは、ドイツ軍の空襲(くうしゅう)におびえながら、母親と配送の仕事をしている父親の帰りを待っていました。しかし、母親がけがをした父親の看病へ向かったため、エレンは下の階に住むネリーばあさんと暮らすことになります。そんなある日、エレンがアパートの近くの小屋に入ると、ドイツ兵が隠(かく)れていたのです。そのとき爆撃(ばくげき)が始まり、二人は小屋の中に閉じ込められてしまいました・・・。ドイツ兵との出会いが、エレンを成長させます。

『夜の小学校で』

(岡田淳作、偕成社)掲載:『岐阜新聞』2013.10
主人公の「ぼく」は桜(さくら)若葉(わかば)小学校でしばらくの間、夜警(やけい)のしごとをすることになりました。学校に泊(と)まって夜の校舎(こうしゃ)や運動場の見回りをするしごとです。夜の小学校に一人でいるなんて少しこわそう、と思う人もいるでしょう。そう、そこでは時々ふしぎなことがおこります。運動場で大男が月を見ていたり、ウサギがスープを作りにきたり。この本は、「ぼく」がそんなふしぎな出来事を日記のようにまとめた物語です。ちょっとドキドキしながら夜の小学校をのぞいてみましょう。

『この羽だれの羽?』

(おおたぐろまり作・絵、偕成社)
学校や公園で、鳥の羽が落ちているのを見たことはありませんか?それは、そこに鳥がいた、という証拠(しょうこ)です。この本では、身近に見られるスズメやツバメ、水辺でくらすコサギなど、十九種類の鳥の羽を紹介(しょうかい)しています。同じ鳥でも、つばさや尾(お)など体の部分によって大きさや役割のちがう羽がはえています。あなたが見つけた羽は、どこかへ飛んでいくとちゅうの渡(わた)り鳥(どり)のものだったのかもしれません。どうしてここに落ちていたのかな・・・一枚の羽から想像が広がります。

『ねこのたからさがし』

(さえぐさひろこ作、はたこうしろう絵、鈴木出版)掲載:『岐阜新聞』2013.9
あかりとゆうたは学校の帰り道、空き地で不(ふ)思(し)議(ぎ)なかんばんを見つけます。そこへ、たからさがしの途中(とちゅう)だというねこが現れます。二人が見つけたかんばんは、たからさがしのヒントが書かれていたのです。地面に書いたまるの中の草を引きぬくと、地下への入口が現れ、見知らぬ部屋へとつづいています。部屋の中に隠(かく)されている、たからばこのカギを探し出さなければならないのですが・・・。あかりやゆうたのように、ワクワクしながら楽しめるお話です。

『駅の小さな野良ネコ』

(ジーン・クレイグヘッド・ジョージ作、斎藤倫子訳、鈴木まもる絵、徳間書店)
ある夜、飼い主に川へ投げすてられたトラネコは、なんとか川岸にはい上がり、駅前の空き地へとたどり着きます。そこで、近くの屋敷(やしき)に暮らす少年マイケルと出会います。マイケルは、トラネコのことが気になって仕方ありません。トラネコは、ライバルとの争いや、危険(きけん)な敵(てき)との戦いの中で、生きる力を身につけていきます。そして、時折(ときおり)マイケルの前に現れるのですが・・・。人間を信じられないネコと両親を亡くした少年が、少しずつ心を通わせていく物語です。

『はるかなるアフガニスタン』

(アンドリュー・クレメンツ著、田中奈津子訳、講談社)掲載:『岐阜新聞』2013.7
アビーはアメリカに住む女の子。学校の課題(かだい)で、外国の生徒と文通(ぶんつう)をすることになりました。文通の相手は、アフガニスタンの村にくらす男の子サディードです。はじめは気がのらなかった二人ですが、言葉も文化も自然もまったくことなる外国からの手紙を読んで、相手のことをもっと知りたいと思うようになります。 国どうしの考え方のちがいはあっても、おたがいのことをよく知れば心を通わせることができる。そんな力を感じることができる一冊です。

『ゾウの森とポテトチップス』

(横塚眞己人しゃしんとぶん、そうえん社)
ボルネオ島は東京からおよそ四千キロのところにあります。一年中暑く、森にはゾウなど多くの生き物がくらしています。今、その森が減(へ)っています。アブラヤシのプランテーション(大規模(だいきぼ)農園(のうえん))のために森が切りひらかれ、野生の生き物の住む場所が少なくなっているのです。アブラヤシから取れるパーム油(ゆ)は世界中に輸出(ゆしゅつ)され、様々な食品や生活用品に使われています。「地球は人間だけのものではない」こと、私たちの生活と自然がどのようにつながっているのか、まず「知る」ことからはじめてみましょう。

『ジャコのお菓子な学校』

(ラッシェル・オスファテール作、ダニエル遠藤みのり訳、風川恭子絵、文研出版)掲載:『岐阜新聞』2013.6
小学生のジャコは、小さいころから食べることが大好き。でも、算数の授業(じゅぎょう)や本を読むことは苦手(にがて)です。ある日、図書館でお菓子の作り方の記事を見つけ、一人でクッキー作りに挑戦(ちょうせん)します。すっかりお菓子作りに夢中(むちゅう)になったジャコは、近所の人のためにお菓子屋さんを開くことにしました。そして、いつの間にか算数や本を読むことも苦手ではなくなっていたのです。失敗(しっぱい)をしながらも、周りに支えられてお菓子作りを続けているジャコのように、みなさんも夢中になれることを探してみませんか。

『なみだひっこんでろ』

(岩瀬成子作、上路ナオ子絵、岩崎書店)
るいには一歳(さい)違いのおねえさんがいます。おねえさんは、おふろのお湯が熱かったり、きらいな食べものが出てきたりすると、すぐに泣いてしまいます。そういうときは、「なみだー、ひっこんでろー」と言ってあげるのです。犬やネコが好きなおねえさんは、近所で飼(か)われている犬のゴローの様子が気になってしかたありません。ある日、ゴローに会うため、夜にもかかわらず家を出て行こうとするのですが・・・。おねえさんのことを心配する妹の気持ちが伝わってくるお話です。

『ライジング父サン』

(くすのきしげのり作、松成真理子絵、フレーベル館)掲載:『岐阜新聞』2013.5
シンイチは小学五年生。父さんと母さん、来年一年生になる妹のアスカとおばあちゃんとくらしています。いつも夏の太陽のように元気にかがやいていた父さんが、ある日脳の病気でたおれてしまいます。アスカの入学式に出ることを目標に病院で少しずつリハビリをはじめる父さん。シンイチはそのすがたを見て、父さんがやりかけていた家の庭づくりを続けます。「あきらめないかぎり、実現するとちゅう」という父さんの言葉が、シンイチだけでなく私たちの心にもひびきます。

『ミツバチとともに 養蜂家 角田公次』(農家になろう2)

(大西暢夫写真、農文協編、農山漁村文化協会)
ハチミツをつくるためにミツバチを飼(か)うことを「養蜂(ようほう)」といいます。角田さんの養蜂場(ようほうじょう)は群馬県の山のふもとにあります。ミツバチ一匹の体重は0・1グラム。生まれてから死ぬまでの間に、小さなスプーン一ぱいほどの蜜(みつ)を集めます。「蜂(はち)飼(か)いのくらしは花とともにある。・・・人間と花とのあいだをつないでくれるもの、それがミツバチなんです」と角田さんは言います。自然の中にとけこむ「養蜂」という仕事への角田さんの思いがたくさんつまった一冊です。

『けんかにかんぱい!』

(宮川ひろ作、小泉るみ子絵、童心社)掲載:『岐阜新聞』2013.4
三年生になった和人(かずと)は、クラスの係をきめるときに「けんかとめ係」という新しい係を考えつきました。ところが、担任(たんにん)の中村先生は「けんかはとめるものでないぞ。しっかりとやらせるものだろう。」と言うのです。納得(なっとく)できない和人でしたが、「けんか係」として活動することになりました。ある日、隣(となり)のクラスの一樹(かずき)に何も言い返せないでいる修一(しゅういち)に、けんかになってもいいから、言いたいことをはっきり言うようアドバイスする和人でしたが・・・。自分の思いを素直(すなお)に伝え合うことの大切さに気づかせてくれる作品です。

『桜守のはなし』

(佐野藤右衛門作、講談社) 掲載:『岐阜新聞』2013.3
「桜守」を知っていますか?藤右衛門さんは桜守として、いつも世界中の桜を見守っています。桜守の仕事は花がさく春だけではありません。夏は桜の種(たね)まきをして、冬は木の植えかえを行います。いつも木を見て、さわって、音を感じて、桜が元気にそだっているかを確認(かくにん)しています。 藤右衛門さんは言います。桜をみるなら、自分が好きな桜を一本だけ決めて、春だけでなく一年をとおしてみてほしい。そうすることで自然のながれを感じることができますよ、と。この春、自分だけの桜を見つけてみませんか?

『おめでたこぶた その1 四ひきのこぶたとアナグマのお話』

(アリソン・アトリー著、すがはらひろくに訳、福音館書店) 掲載:『岐阜新聞』2013.3
森にのびる小道のほとりに小さな家がありました。そこには四ひきのこぶたが、親がわりのアナグマのブロックさんといっしょにくらしています。ある日、森からよそものがやってきました。長くつき出た鼻、するどい目つきのオオカミです。ブロックさんの助けを借りて、こぶたたちはこのピンチをどのようにきりぬけるのでしょうか。イギリスの作家アトリーは、わらべうたや昔話をもとにたくさんの物語を書いた人です。春の日の光のようにあたたかなお話の世界を楽しんでみてください。

『ぼくとおじちゃんとハルの森』

(山末やすえ作、大野八生画、くもん出版)掲載:『岐阜新聞』2013.1
小学四年の輝(てる)矢(や)は、祖母の弟で大工のモリおじちゃんに誘(さそ)われて山小屋へ行くことになりました。しかし、木々に囲まれたおんぼろ小屋にがっかりしてしまいます。 数ヵ月後、再び山小屋を訪れると、モリおじちゃんによって見違(みちが)えるようになっていました。山小屋での生活は、モリおじちゃんの手伝いで木を切ったり、迷い犬のハルの世話をしたりと大忙しです。ある日、ハルの飼い主と思われる写真が見つかったのですが・・・。人とのつながりの大切さを教えてくれる物語です。

『雪ぼんぼりのかくれ道』

(巣山ひろみ作、狩野富貴子絵、国土社)
奥野(おくの)郷(ごう)に住むおばあちゃんに会いたくて、家族にはないしょで家を出てきてしまった果奈(かな)。しかし、大好きなおばあちゃんは果奈のことをすっかり忘れてしまっていました。源じいさんから雪祭りの話を聞き、おばあちゃんのために「雪ぼんぼり」を作っていると、一匹のウサギが果奈の前に現れました。後を追っていくと、いつの間にか神様の通り道である「かくれ道」に迷い込んでしまっていたのでした・・・。この不思議な体験が、内気(うちき)だった果奈を成長させてくれます。

平成24(2012)年

『さまざまな色と形 紅葉・落ち葉・冬芽の大研究 葉のひみつをさぐろう!』

(星野義延監修、PHP研究所) 掲載:『岐阜新聞』2012.12
青く澄(す)みきった秋の空の下、今年もきれいな紅葉が見られましたね。秋になるとどうして木の葉は赤や黄、茶色に色づくのかな。葉っぱは木から落ちると地面でどうなっていくのかな。葉を落とした木は、どのようにして寒い冬を越(こ)すのかな。この本にはそんな葉っぱのふしぎがたくさんつまっています。落ち葉の形から木の種類(しゅるい)を調べたり、「落ち葉トランプ」で遊んだり、落ち葉のふとんをかぶって音やにおいを感じたり、落ち葉の楽しみ方もいろいろ紹介しています。さあ、山や公園へ落ち葉観察に出かけましょう!

『願いのかなうまがり角』

(岡田淳作、田中六大絵、偕成社) 掲載:『岐阜新聞』2012.12
主人公「ぼく」は小学三年生。近所に住むおじいちゃんの所へしょっちゅう遊びに行っています。  おじいちゃんはいつも「ぼく」だけにひみつの話をしてくれます。ある時は雲にのぼって雷(かみなり)のむすめさんとけっこんした話。またある時は運動会の玉入れの「修行(しゅぎょう)」をした話。そんなおじいちゃんは、散歩のとちゅうでまがり角にくると変わった歩き方になります。「ぼく」がそのわけをたずねると・・・。ユーモアたっぷりのおじいちゃんと「ぼく」の会話が楽しい一冊です。

『ジェニーとキャットクラブ』

(エスター・アベリル作・絵、松岡享子・張替惠子共訳、福音館書店) 掲載:『岐阜新聞』2012.10
黒ネコのジェニーが住むティンカーの家の庭では、キャット・クラブというネコの集まりがあり、個性豊かなネコたちが会話を楽しんだり、踊(おど)ったりしています。ジェニーはその様子をながめているだけで、声をかけることもできません。ある日、ジェニーはティンカーの手作りスケートぐつをはき、凍(こお)った池でスケートをはじめました。その様子に感激(かんげき)したクラブの仲間は、ジェニーをクラブの会員として迎(むか)え入れてくれたのでした・・・。黒ネコのジェニーのお話は全部で三冊ありますので、読んでみてください。

『珍獣病院 ちっぽけだけど同じ命』

(田向健一著、講談社) 掲載:『岐阜新聞』2012.9
獣医(じゅうい)の世界での「珍獣」とは犬や猫以外、例えばウサギ、金魚、カメなどを言います。この本を書いた田向さんの動物病院には、全国から100種類をこえる動物が運ばれます。初めて診察(しんさつ)する動物も少なくありません。食欲のないイグアナや、石を飲んだモリアオガエル・・・田向さんはありったけの知識と技術を使い、「常識(じょうしき)」にとらわれず、工夫して動物を救います。中には、きちんと飼えば病気にならないですんだ動物もいます。動物を飼うということは、その命を預かるということ。ペットの命についてみんなで考えてみませんか。

『ペットショップはぼくにおまかせ』

(ヒルケ・ローゼンボーム作、若松宣子訳、岡本順絵、徳間書店) 掲載:『岐阜新聞』2012.9
動物と話ができたら、と思ったことはありませんか?この物語に登場(とうじょう)する動物たちは言葉をしゃべります。ただし、主人公ティミーの前でだけですが・・・。ティミーはドイツのある町に住む男の子。金魚のえさを買いにペットショップに行くと、オウムとカメが話しかけてきました!ティミーに一週間ほど店番をしてほしいと言うのです。お店には人間のお客だけでなく、動物もやってきます。ティミーはどうやって彼らの悩(なや)みを解決(かいけつ)するのでしょうか。ティミーといっしょにわくわく体験をしてみましょう。

『シーラカンスとぼくらの冒険』

(歌代朔作、町田尚子絵、あかね書房) 掲載:『岐阜新聞』2012.8
地下鉄のホームでシーラカンスに出会い、一緒に地下鉄に乗るという不思議な体験をしたマコト。親友のアキラとシーラカンスについて調べていくと、「陸(りく)シーラカンス」と呼ばれ、地下鉄に長年棲(す)みついていることを知ります。しかも、人間の言葉を話すことができるのです。 シーラカンスとすっかり仲良くなった二人は、シーラカンスを水族館やプラネタリウムへ連れて行こうとしますが・・・。マコトとアキラに出会ったことで、シーラカンスの中に眠っていた冒険(ぼうけん)心(しん)が目覚めていきます。

『小さなバイキングビッケ』

(ルーネル・ヨンソン作、エーヴェット・カールソン絵、石渡利康訳、評論社) 掲載:『岐阜新聞』2012. 7
バイキングの子どものビッケは、力が弱く、戦うことは嫌いですが、とてもかしこい男の子。ある日、フラーケ地方の族長である父親が率いるバイキング遠征(えんせい)についていくことになりました。最初に訪れた国では、敵(てき)の罠(わな)にはまり捕(つか)まってしまいます。しかし、ビッケはある生き物を使って仲間を助け出し、財宝まで手にするのです。様々なピンチも、知恵を働かせて乗り越えていくビッケの魅力(みりょく)がつまったお話です。ビッケのシリーズは全部で六冊ありますので、他のお話も読んでみてください。

『走れ!マスワラ』

(グザヴィエ=ローラン・プティ著、浜辺貴絵訳、PHP研究所) 掲載:『岐阜新聞』2012.6
舞台(ぶたい)はアフリカの小さな村。熱風がふき、砂嵐(すなあらし)が起こり、夜はジャッカルの遠吠(とおぼ)えが聞こえます。ここに家族とくらすシサンダは九歳(さい)の女の子です。シサンダには心臓に重い病気があり、友だちと自由に遊ぶこともできません。手術(しゅじゅつ)をするにはたくさんのお金が必要です。ある日、風に飛ばされてきた新聞にマラソン大会の記事が。それを見たお母さんのマスワラは、シサンダの病気を治すためにある決意(けつい)をします。この物語には実在(じつざい)のモデルがいます。ピンチを乗りこえて走るマスワラを村の人たちとともに応援(おうえん)したくなる一冊です。

『また おいで』

(もりやまみやこさく、いしいつとむ画、あかね書房) 掲載:『岐阜新聞』2012.6
ある日、キツネの子が公園へ遊びに行くと、ウサギの子に出会いました。どうやらお父さんとはぐれてしまったようです。 キツネの子は、なんとかなぐさめようとしますが、ウサギの子の心ぼそい気持ちはどんどん大きくなってしまいます。そこでキツネの子は・・・。この本の作者もりやまみやこさんは、この他にも『こうさぎのあいうえお』(小峰書店)や『ドレミファ・ドーナツふきならせ』(フレーベル館)など動物たちが登場(とうじょう)する物語をたくさん書いています。みなさんの学校の図書館にもあるかもしれませんよ。

『11号室のひみつ』

(ヘザー・ダイヤー作、ピーター・ベイリー絵、相良倫子訳、小峰書店) 掲載:『岐阜新聞』2012.5
トビーは、赤ちゃんの時ホテルの空き部屋で発見され、それ以来ホテルの下働きをしています。ある日、飛ばされた洗濯物を探していると、エリザという名の人魚に出会います。エリザの家族から黄金の指輪をもらいますが、その指輪は公爵(こうしゃく)のものだと分かり、ホテルは大騒(おおさわ)ぎになります。公爵(こうしゃく)の宝を探す人が押し寄せ、エリザの隠れ家が見つかってしまうのではと心配するトビーは、ある作戦を考えますが・・・。トビーの行動が、ホテルの今後を大きく変えるできごとへとつながっていきます。

『トモダチックリの守り人』

(吉冨多美作、長田恵子装画、金の星社) 掲載:『岐阜新聞』2012. 5
小学四年生のタケルは、「カンケーない」が口ぐせで、面倒(めんどう)なことは避(さ)けてばかり。夏休みに母親の生まれ育った村へ行くことになり、そこで母親の親友の娘の野音(のん)と出会います。二人で森へ出かけることになりますが、森の中では不思議なことが起こります。最初は怖(こわ)がっていたタケルも、自然を見て、聞いて、感じることの大切さを知り、野音(のん)との友情を深めていきます。森での体験が、クラスメートと向き合うことを避(さ)けてきたタケルを、大きく成長させていきます。

『オガサワラオオコウモリ 森をつくる』

(有川美紀子、鈴木創文・写真、小峰書店) 掲載:『岐阜新聞』2012.4
自然の世界には、たくさんの生きものがくらしています。それらはおたがいに、いろいろな形でつながり合い、支え合っています。オガサワラオオコウモリをはじめ、大昔から独自に進化した生きものたちが住む小笠原(おがさわら)諸島(しょとう)は、昨年世界(せかい)自然(しぜん)遺産(いさん)に登録(とうろく)されました。人間がこの島に移り住んだことによって、コウモリたちのくらしはどのように変わったのでしょうか。命がつながり合った豊かな自然を次の世代(せだい)へ残していくために、私たちにできることを考えてみませんか。

『ふしぎなまちのかおさがし』

(阪東勲著、岩崎書店) 掲載:『岐阜新聞』2012.2
犬のダックは「まちのかお」を見つけるのが得意(とくい)です。ある日、サムくんはダックといっしょに「まちのかおさがし」に出かけました。町には「かお」がいっぱい。まんまるがおに目が二つのマンホールや、おばけのかおに見える電信柱(でんしんばしら)、空を見上げれば、ダックのよこがおにそっくりな雲がうかんでいます。この本はそんな「まちのかお」を集めて、写真で紹介(しょうかい)しています。公園で、学校へ行く途中(とちゅう)で、家の庭で・・・あなたのまわりにもいろいろなかおがかくれていますよ。

平成23(2011)年

『飛べ!「はやぶさ」小惑星探査機60億キロ奇跡の大冒険』

(松浦晋也文、学研教育出版) 掲載:『岐阜新聞』2011.12
みなさんは、流れ星を見たことがありますか?流れ星は小惑星(しょうわくせい)や彗星(すいせい)のかけらです。時々地上に落ちてくるかけらは、小さくても太陽系の始まりを研究するための大きな手がかりとなります。小惑星探査機(たんさき)「はやぶさ」は、地球から直接小惑星へその手がかりを取りに行き、七年後に地球へ帰りました。「はやぶさ」は、技術を開発する人、設計する人、部品を作る人や組み立てる人など、たくさんの人の夢をのせて宇宙を旅しました。高い空、その先に広がる大きな宇宙。そこに私たちの将来の可能性が無限に広がっていることを実感できる一冊です。

『アーベルチェの冒険』

(アニー・M・G・シュミット作、西村由美訳、岩波書店) 掲載:『岐阜新聞』2011.12
オランダのミデルムという小さな町で暮らす少年アーベルチェは、新しくできたデパートのエレベーターボーイとして働くことになりました。開店の日、エレベーターに「ただついているだけ」の不思議なボタンを押してしまったアーベルチェ。三人の客を乗せたまま、エレベーターはデパートの屋根を突き破って空へ飛び出しました! 空飛ぶエレベーターで 世界中を旅する四人は革命にまきこまれたり、思いがけない出会いがあったり・・・どきどき、わくわくがいっぱいの冒険物語です。

『ノースウッズの森で』

(大竹英洋文・写真、福音館書店) 掲載:『岐阜新聞』2011.9
ノースウッズは、ミンティたちが過ごした森よりもさらに北にあります。カナダの湖水(こすい)地方に広がる森と湖の世界です。この本の作者はノースウッズを中心に活動している写真家です。森に入って、けもの道を歩いていくと、そこは生きものの気配(けはい)に満ちみちていました。秋には、カナダガンという渡り鳥(わたりどり)の群れが南へ渡る姿が見られます。また、メープルの赤やシラカバの黄、オークの茶、モミの緑など、森はたくさんの色にそまります。
昔から変わらない、大きな自然の営(いとな)みと人間とのつながりを感じることができる一冊です。

『ミンティたちの森のかくれ家』

(キャロル・ライリー・ブリンク著、谷口由美子訳、中村悦子絵、文溪堂) 掲載:『岐阜新聞』2011.9
一九三〇年秋、ミンティと妹エッグスは、仕事を失ったパパとともに、町を出て伯母(おば)さんのところへ向かっていました。その途中(とちゅう)、森の中にひっそりとたつ家を発見します。どうやら誰かの夏の別荘(べっそう)のようです。車が故障(こしょう)して困っていたミンティたちは、この家でひと冬こっそり住まわせてもらうことに・・・。舞台はアメリカ合衆国の中北部にあるウィスコンシン州。森にさしこむ光、湖面のさざなみや、紅葉した木々。豊かできびしい自然の中での、ミンティたちの暮らしと、思いがけない出会いをいきいきと描いています。

『犬どろぼう完全計画』

(バーバラ・オコーナー作、三辺律子訳、かみやしん絵、文溪堂) 掲載:『岐阜新聞』2011.7
主人公ジョージナはアメリカのノースカロライナ州で、母と弟との三人暮らし。訳(わけ)あって今は車の中で生活しています。不便(ふべん)な生活から抜(ぬ)け出(だ)すために、ジョージナはある計画を思いつきます。それは「犬をぬすむ」こと。はたして、家族みんなでゆっくり眠れるもとのくらしにもどることができるのでしょうか。自分のしたことに悩むジョージナは、放浪生活をしているムーキーと出会います。「うしろに残した跡(あと)のほうが、前にのびてる道より大切なときもある」という彼のことばの意味を、主人公と一緒に考えてみませんか?

『ホスピタルクラウン・Kちゃんが行く 笑って病気をぶっとばせ!』

(あんずゆき文、佼成出版社) 掲載:『岐阜新聞』2011.7
「こんにちは。入っていいですか。」病室の入口から、目をくりくりさせた、にこにこ顔のホスピタルクラウン・Kちゃんがそっと声をかけます。赤い鼻に、オレンジ色の服、トレードマークのちょんまげ・・・そんなKちゃんの登場(とうじょう)に、病室の子どもたちはびっくり! 「ホスピタル」は病院、「クラウン」はピエロのような道化師(どうけし)のこと。Kちゃんは、病院をおとずれて、患者(かんじゃ)に笑いをとどけています。Kちゃんが来ると、病気と闘う(たたか)子どもたちや家族、看護師(かんごし)さんたちの顔にも自然と笑顔がこぼれます。笑いと元気を運ぶ、Kちゃんの活躍を描きます。

『ヤマトシジミの食卓』

(吉田道子作、大野八生画、くもん出版) 掲載:『岐阜新聞』2011.6
小学三年生のかんこは、空き地で出会った風助(ふうすけ)と名乗るおじいさんを家まで連れて行き、そのまま家族のように暮らし始めます。風助さんはかんこが落ち込んでいると励(はげ)ましてくれたり、チョウのヤマトシジミやカワウソのことなどを教えてくれたりします。しかし、時々どこかへ出かけて行ってはしばらく戻ってきません。四年生の夏休み、かんこは友達のかおと、なかなか戻ってこない風助さんを探しに出かけますが・・・。かんこと風助さんとの間に生まれた不思議なきずなを描いた作品です。

『アリクイにおまかせ』

(竹下文子作、堀川波絵、小峰書店) 掲載:『岐阜新聞』2011.6
片付けの苦手なココちゃんは、毎日お母さんに怒られてばかり。日曜日、一人でお留守番(るすばん)をしていたココちゃんのところに「アリクイかたづけサービスしゃ」の三びきのアリクイがやってきました。あっという間にココちゃんの部屋はきれいになり、お母さんはココちゃんが片付けたと思って大喜びです。また部屋がちらかってしまったココちゃんは、自分で「アリクイかたづけサービスしゃ」に片づけをお願いしますが・・・。部屋の片づけをしたくなってしまうような楽しいお話です。

『みんながそろう日 モロッコの風のなかで』

(ヨーケ・ファン・レーウェン他作、野坂悦子訳、鈴木出版) 掲載:『岐阜新聞』2011.5
モロッコという国を知っていますか?アフリカ大陸の北西にあり、アフリカからヨーロッパへの「玄関(げんかん)口(ぐち)」ともよばれています。モロッコの都市カサブランカに住む主人公ジマが十一歳のある日、学生(がくせい)運動(うんどう)をしていたアムラ兄さんが捕(と)らえられ、やがて、二番目の兄メディも・・・。季節の行事には家族そろってお祝いをし、誰かの帰りが遅いと皆で心配する・・・国は異なっても家族を思う気持ちは同じです。支えあって暮らす家族の約十年間を、ジマの目をとおして描きます。

『ぼくの羊をさがして』

(ヴァレリー・ハブズ著、片岡しのぶ訳、あすなろ書房) 掲載:『岐阜新聞』2011.4
「ぼく」は牧羊(ぼくよう)犬(けん)のボーダーコリー。カリフォルニアのボブさんの牧場でくらしています。大人の犬たちと羊を追う仕事を始めたばかりの「ぼく」は自分が何かの役に立っていることがうれしくて仕方がありません。ところがある日、牧場が火事になって・・・。みんなと別れて長い放浪(ほうろう)の旅に出る主人公。その途中にはうれしい出会いもあれば、つらい出来事もありました。「生きる目的」をもう一度見つけよう、生きていく上で大事なことって何だろうと、考えながら前へ進んでいく主人公の心の成長を描きます。

『ネコのドクター 小麦島(こむぎしま)の冒険』

(南部和也著、福音館書店) 掲載:『岐阜新聞』2011.4
ジョンは人類(じんるい)学者(がくしゃ)ポート博士の家に住むネコ。博士の助手(じょしゅ)をするうちにすっかり物知りネコになりました。ある日、ジョンの住む町にふしぎなことが起こりました。町の人たちがだんだん「ゆっくり」になっているのです。その原因はパン屋のガトウィックさんがつくるパンにあるようです。謎を確かめるために、ジョンは小麦粉がとれる「フラワー島」へ向かいます。自然が創り出した森と、人が作った畑、人と暮らす動物など、自然との共存・調和をテーマにしたファンタジーです。